チタン時計は傷つきやすい?硬度と傷の対処法を検証

当ページのリンクには広告が含まれています。
チタン製腕時計ケースの表面に光を当て細かな擦り傷とヘアライン仕上げの質感を写した接写
  • URLをコピーしました!

チタンの腕時計を検討していると、「軽くて金属アレルギーになりにくい」という長所と同時に、「傷つきやすい」という評判も必ず目に入ってきます。実際にどこまで本当なのか、購入前に確かめておきたいところです。

結論から言うと、答えは「Yes、ただし条件付き」です。素材そのものの硬度で見ればチタンはステンレスと大差ないか、むしろやや低い水準にとどまりますが、実際に流通している時計の多くは表面硬化処理が施されており、耐傷性は処理の有無で大きく変わってきます。

この記事では、硬度データという客観的な数字を軸に、傷の見え方の違いや各社の表面処理技術、傷がついてしまった後の対処法までを整理します。重量感や価格、安っぽさといった「傷」以外のデメリットはここでは扱いませんので、あわせて確認したい方は後述の内部リンクを参考にしてください。

この記事を読むと分かること
  • 純チタン単体の硬度がステンレスと比べて実際どうなのか、出典データで分かる
  • 表面硬化処理の有無でチタン時計の耐傷性がどれだけ変わるのか分かる
  • カラーチタンの傷がなぜ「色の違い」として目立ちやすいのか分かる
  • 傷がついてしまった後、研磨や修理、売却でどう向き合えばよいか分かる

目次

チタン時計は本当に傷つきやすい?硬度データで冷静に検証

チタン素材とステンレス素材、仕上がった腕時計ケースを並べて硬度の違いを比較する画像
素材そのものの硬度と、時計としての耐傷性は分けて考える必要があります

結論:純チタン単体は傷つきやすいが、時計としては表面処理次第

未処理の生チタン素材と表面硬化処理済みのチタンケースを左右に並べて比較した画像
素材の地の硬度と、処理後の耐傷性は分けて見きわめる必要があります
MOMOMO

先に結論を言ってしまうと、「チタンの時計は傷つきやすいか」という問いへの答えは、「Yes、ただし条件付き」です。

ここで言う条件とは、素材そのものの硬度の話と、時計として仕上げられた後の表面処理の話を分けて考える必要がある、ということです。この2つを混同したまま語ると、話がかみ合わなくなります。

純チタン単体の硬度は、後述する出典データが示すとおり、ステンレスと大差ないか、むしろやや低い水準にとどまります。つまり「チタンだから頑丈で傷に強い」という単純なイメージは、素材の生の状態に限って言えば当てはまりません。

一方で、実際に店頭に並んでいる時計の多くは、表面硬化処理という工程を経てからケースに仕上げられています。処理の種類や有無によって耐傷性は大きく変わり、この差を無視して「チタンは傷つきやすい」と一括りに語ることはできません。

この二層構造を理解しないまま「チタン=傷に弱い」と一括りに判断してしまうと、実際には耐傷性の高いモデルまで選択肢から外してしまいかねません。素材の地の硬度と、時計としての耐傷性は、分けて見きわめる必要があります。

本記事では、この「素材の地の硬度」と「時計としての耐傷性」という二層構造を軸に、傷の見え方の違いや各社の技術、傷がついた後の対処法まで順番に見ていきます。なお、チタン時計には重量感や価格、安っぽさといった「傷」以外の弱点も指摘されますが、それらはチタン時計のデメリットで扱っていますので、本記事では「傷」というテーマに絞って深く掘り下げます。

硬度データで比べる純チタン・グレード5・ステンレス

「傷つきやすいかどうか」を語るうえで、避けて通れないのが硬度という客観的な数字です。硬度が高いほど、先の尖った異物が当たったときに表面が変形しにくく、傷が入りにくいというのが金属材料の一般的な性質です。ここでは代表的な3つの素材の硬度を並べて比較します。

素材硬度
純チタン(JIS2種・時計ケースで一般的なグレード)145〜160HV前後
Ti-6Al-4V(グレード5チタン)280〜349HV前後
316Lステンレス鋼215HB前後(ブリネル硬さ)

表を見て気づくのは、純チタンの硬度がステンレスと同程度かやや低い水準にとどまっている点です。316Lステンレスの数値だけブリネル硬さ(HB)という異なる測定方式で示されているため単純比較はできませんが、少なくとも「チタンだから圧倒的に硬い」という前提は成り立ちません。

一方でグレード5チタンは素材単体でも高い数値を示しており、同じ「チタン」でもグレードによって硬度は大きく異なることが分かります。硬度の値は測定条件によって出典間でも幅があるため、本記事ではいずれも「〇〇HV前後」という幅を持たせた書き方にとどめています。

一般社団法人日本チタン協会「物理的性質」のデータを参照すると、工業用純チタンの硬度は160HV程度、α-β系チタン合金は320HV前後という記載が確認できます。単一の数値を断定するのではなく、こうした幅のあるデータとして受け止めておくのが安全です。

「軽い=柔らかい=傷つきやすい」という通説の正体

EMIRI

チタンって軽いから、その分柔らかくて傷つきやすいんですよね?

MOMOMO

実はそこが誤解されやすいポイントです。「軽い」は比重の話、「傷つきやすい」は硬度の話で、この2つは本来まったく別の軸にあります。

チタンの比重は鉄やステンレスのおよそ60%程度で、この「軽さ」は主に原子の質量と結晶構造によって決まる性質です。一方、傷のつきやすさを左右する硬度は、原子同士の結合の強さや結晶の変形しにくさによって決まる、比重とは別の物理的性質です。つまり「軽い金属だから柔らかい」という理屈は、材料工学的には成立しません。

実際、2026年9月時点でグランドセイコーの正規販売店が公開した公式YouTube動画でも、「軽い=傷つきやすい」は誤解であるという趣旨の解説がされています。素材の軽さと傷への強さは別の指標で判断すべきだという整理は、専門家の見解とも一致しています。

とはいえ、前項で見たとおり純チタン単体の硬度がステンレスと大差ない、あるいはやや低い水準にあるのも事実です。「軽い=柔らかい」という理屈こそ誤解ですが、「純チタンの生の硬度はさほど高くない」という事実そのものは変わりません。この2つを混同せずに整理しておくことが、次項以降の傷の見え方を理解するための土台になります。

この整理は、購入を検討している方にとって実用的な意味を持ちます。「軽いから傷に弱いはず」という思い込みだけでモデル選びの候補から外してしまうのはもったいなく、実際に確認すべきは硬度データや表面処理の有無であって、重さそのものではありません。逆に「重ければ傷に強い」というのも短絡的で、重さは主に密度の違いによるものであり、耐傷性の指標にはならない点も覚えておいてください。

傷の種類で変わる目立ち方:擦り傷・打痕・ヘアラインの乱れ

ヘアライン仕上げのチタンケースに入った擦り傷と打痕を接写し傷の種類の違いを示す画像
筋目と交差する方向の傷ほど、乱れとして目立ちやすくなります

硬度が低い素材ほど、先の尖った硬い異物が当たったときに表面が塑性変形しやすく、線状の擦り傷や点状の打痕が入りやすいというのが金属材料工学の一般的な原則です。この因果関係を時計メーカーが公式に明言した一次資料は確認できていませんが、前項までの硬度データから論理的に導ける傾向として捉えておくとよいでしょう。

傷の見た目にも種類があります。鍵やベルトのバックルなど先の尖ったものが当たれば線状の擦り傷になり、机の角やドアノブなど面で当たれば点状の打痕(凹み)として残ります。どちらも硬度が低いほど深く入りやすい傾向にあります。

仕上げの向きによっても傷の目立ち方は変わります。ヘアライン仕上げは一方向に細かい筋目を機械加工で入れた仕上げで、筋目と同じ方向の傷は比較的紛れやすい一方、筋目と交差する方向についた傷は乱れとして目立ちやすくなります。これは特定メーカーの公式説明というより、仕上げ加工の構造上の一般的な性質です。

ここで注意したいのは、ケース素材そのものの傷と、風防に使われるサファイアガラスの傷はまったく別物だという点です。サファイアガラスはケースよりはるかに硬度が高い素材で、傷のつきかたも原因も異なります。風防の傷について詳しくは、サファイアガラスの傷を自分で消す危険性で扱っていますので、ケースの傷とあわせて混同しないよう整理しておいてください。

カラーチタンの傷が「色の違い」として目立つ理由

陽極酸化で発色したカラーチタンの表面に傷が入り地の金属色が見える様子を写した接写
傷の部分だけ酸化被膜が変化し、色の違いとして目立ちやすくなります

チタン表面には自然に酸化被膜(TiO2)が形成されており、これが優れた耐食性の土台になっています。カラーチタンと呼ばれる着色モデルの多くは、この酸化被膜の厚みを陽極酸化処理によって精密にコントロールすることで発色させています。

補足

この発色の仕組みは「構造色」と呼ばれ、シャボン玉や油膜が虹色に見えるのと同じ原理です。被膜の厚みがナノメートル単位でわずかに変わるだけで、反射光が干渉し合い、見える色が変化します。

この原理をふまえると、着色されたチタンに傷が入った場合、その部分だけ酸化被膜の厚みが変化したり剥がれたりして、地の金属色が露出しやすくなると考えられます。単色のステンレスであれば傷は「表面の凹凸」として認識されますが、カラーチタンの場合は傷が「色の違い」として視覚的に際立ちやすくなる、というのが編集部としての考察です。

この「傷が色の違いとして目立つ」という結論部分について、時計メーカーが公式に説明した一次資料は今回確認できていません。あくまで発色原理という事実から導ける考察として受け止めていただければと思います。単色のシルバー系チタンモデルであれば、この「色の違いとして目立つ」という問題自体は起こりにくいという点も、モデル選びの参考にしてください。

陽極酸化によるカラーチタンは、モデルごとに被膜の厚みや色の設定が異なり、同じ色に見えても製造ロットや個体によって発色の再現性にわずかな差が生まれることがあります。傷による色の変化がどうしても気になる方は、購入前に実機で色味の均一性を確認しておくと安心です。

知恵袋・SNSに見る「傷がついた」後悔と肯定の声

EMIRI

実際に使っている人は、傷についてどう感じているんでしょうか。

知恵袋やSNSを見渡すと、チタン時計の傷については後悔の声と、それを受け入れる声の両方が見られます。ある投稿者は、傷がつくのが嫌で購入したチタン時計をほとんど着けられないまま手放してしまったと振り返り、「傷が気になる性格なら、最初から傷ありの個体を選ぶ方がよかった」という趣旨の教訓を語っています。

別の投稿では、硬いものに当たって傷がついた瞬間のショックを吐露する声もあり、傷への心理的な負担の大きさがうかがえます。一方で、旅行先でついた傷を「旅の足跡」として前向きに楽しむ、という肯定的な受け止め方をする声も一定数あります。

MOMOMO

傷への向き合い方は、性格やライフスタイル次第で大きく分かれるところです。

この対比は、金無垢時計に対する向き合い方とも重なります。金無垢は経年の傷や擦れそのものを「味」として楽しむ文化が根付いている素材で、金無垢時計を普段使いして傷を楽しむ方法で紹介しているような価値観です。

チタンの場合は色の変化として傷が目立ちやすい分、金無垢ほど気楽に「味」と捉えにくいという違いはありますが、傷を完全に避けようとするのではなく、どこまで許容できるかを購入前に自分の中で決めておくことが後悔を減らす近道です。なお、ここで紹介した声はいずれも投稿内容の要約であり、原文やアカウント名の転載はしていません。

「磨けない」と言われる理由と修理店の現実

時計修理店の作業台でチタンケースを手にする職人の手元を写したドキュメンタリー風の写真
チタンは粘りが強く、通常の金属磨きのようにはいかない素材です

チタン時計を検討していると、「一度傷がつくと磨けない」という評判も目にします。実際、街の時計修理店の中には、料金表に「チタン・メッキ仕上げ・PVD・セラミック・プラスチックは研磨対象外」と明記しているところが少なくありません。

チタンは粘りが強くてね、粘土を磨いているような感覚になるんですよ。

知恵袋の回答でも、なぜ新品時には研磨できるのに後から研磨できないのかという質問に対して、「チタンには粘りがあり、粘土を磨くようなもの」という趣旨の説明がされています。表面処理を一度きれいに剥がしてから研磨し、その後もう一度処理をかけ直す必要があるため、通常の金属磨きのような手軽な工程では済まないというのが実情です。

この「剥がして研磨し、再度処理をかけ直す」という工程は、次の章で詳しく扱うメーカー公式の研磨リペアサービスの内容とも重なります。「磨けない」という評判の背景には、単に技術的に不可能というより、手間とコストがかかりすぎるために対応する修理店が限られている、という現実があると理解しておくとよいでしょう。

この背景を知っておくと、購入前の判断材料が増えます。表面処理が施されたモデルほど、将来的に傷がついた場合の対応コストや手間が大きくなる可能性があるという点は、この先で扱う研磨サービスの条件とあわせて理解しておくと、購入後の見通しが立てやすくなります。

それでもチタン時計を選ぶ価値と、傷との賢い付き合い方

チタン製スポーツウォッチを日常的に着用する手元とデスク周りの落ち着いた雰囲気の写真
傷と向き合いながら長く付き合っていくのも、チタン時計の楽しみ方の一つです

4つの柱で見直すチタン時計の本当の価値

MOMOMO

ここからは「4つの柱」という編集フレームで、傷という弱点だけでなくチタン時計そのものの価値を見直していきます。

機構の解体という視点では、チタンはケース素材の話であり、ムーブメントの精度そのものとは直接関係しません。ここは深く掘り下げず、次の視点に進みます。

匠の美学という視点で見ると、後述するデュラテクトのような表面硬化技術は、単に硬くするだけでなく仕上げの美しさを長く保つための職人的な技術と言えます。硬度を高めながら光沢や質感を損なわないよう調整する工程には、素材工学と仕上げ技術の両方が求められます。

メゾンの遺産という視点では、各社がチタンという素材にそれぞれ独自の哲学で向き合ってきた歴史があります。深掘りは既存記事に譲りますが、素材選びへのこだわりそのものがブランドの物語の一部になっている点は覚えておいて損はありません。

最も重要なのが生涯の伴侶という視点です。「硬いほど傷に強いが、修理の可否や手間はコーティングの有無で変わる」という長期所有の現実は、買った後にどう付き合っていくかを左右します。

重量感や価格、安っぽさといった他の弱点についても触れておくと、チタンはこれらの点でも評価が分かれる素材ですが、深掘りは前述のデメリット記事に譲ります。素材ごとに向き合うべき弱点は異なり、割れるリスクを抱えるセラミックとの対比で見ると、チタンの場合はそれが「傷」だということが分かりやすくなります。

表面硬化処理で変わる耐傷性:デュラテクトとブライトチタン

黒やピンク、アンバーイエローなど表面硬化処理の色違いチタンケースを並べた比較写真
硬度1,000HV以上をクリアした処理だけがデュラテクトとして商品化されています

チタンの「傷つきやすさ」を語るうえで欠かせないのが、各社が独自に開発した表面硬化処理です。中でもシチズンの「デュラテクト」は、公式サイトで硬度の数値を明確に公開している点が際立っています。

デュラテクトの種類公称ビッカース硬度
チタンカーバイド約1,000〜1,100HV
DLC約1,000〜1,400HV
ピンク約1,100〜1,500HV
MRK約1,300〜1,500HV
アンバーイエロー約1,700〜2,300HV

シチズン公式「スーパーチタニウム™技術」ページによれば、硬度1,000HV以上という基準をクリアしたものだけが「デュラテクト」として商品化されているとのことです。純チタン単体の145〜160HV前後と比べると、表面硬化処理によって桁違いの硬度が実現されていることが分かります。

一方、セイコーの「ダイヤシールド」やグランドセイコーの「ブライトチタン」については、公式ページで「傷から時計本来の輝きを守る」「耐傷性に優れる」といった定性的な説明はあるものの、具体的なビッカース硬度の数値は確認できませんでした。

MOMOMO

シチズンだけ数値が公開されているからといって、他社の技術が劣っているとは限りません。単に情報公開の仕方が違うだけ、と捉えるのが公平な見方です。

本記事では、公式に数値が確認できたシチズンの情報はそのまま数値で示し、数値の記載がないセイコー・グランドセイコーについては定性的な表現にとどめています。この情報量の非対称は、あくまで各社の公開方針の違いであり、耐傷性そのものの優劣を意味するものではない点にご留意ください。

傷に強いチタン時計の見分け方:グレード・表面処理・仕上げ

ロレックス ヨットマスター42とチューダー ペラゴス39のチタン製スポーツウォッチ比較写真
同じチタンでもグレードと仕上げによって耐傷性の目安は変わります

傷に強いチタン時計を見分けるには、大きく3つの観点があります。1つ目はグレードです。前述のとおりグレード5(Ti-6Al-4V)はグレード2の純チタンより素材の硬度そのものが高い傾向にあり、これは購入前にスペック表で確認できる分かりやすい目安になります。

2つ目は表面硬化処理の有無です。デュラテクトのような処理が施されているかどうかで耐傷性は大きく変わりますが、処理名がスペックに明記されていないモデルも多いため、気になる場合は販売店やメーカーに確認するのが確実です。

3つ目は仕上げです。ヘアラインのように筋目の入った仕上げは、単純な鏡面仕上げと比べて小傷が目立ちにくいという実用的なメリットがあります。

具体例として、ロレックスのヨットマスター42(Ref.226627)に採用されているRLXチタンは、グレード5チタンをベースにした素材とされています。このチタンを使うモデルの入手しやすさや相場の背景は、ヨットマスターチタンの入手難易度で扱っていますので、あわせてご覧ください。

チューダーのペラゴスシリーズも、モデルによってグレード2とグレード5のチタンを使い分けており、ペラゴス39はグレード2チタン製のケース・ブレスレットを採用しています。TUDOR公式サイト「Pelagos 39」製品ページでもグレード2チタン製である旨が確認できます。

なお、ロレックス・チューダーとも独自コーティングの硬度を示す公式な数値までは確認できていないため、本記事では数値の記載は行いません。

MOMOMO

グレード・処理・仕上げの3点を確認すれば、店頭でもある程度は耐傷性の目安をつけられます。

候補がある程度絞れてきたら、写真やスペック表だけで判断せず、実際に着けてみて傷のつきやすさや装着感を確かめてみるのも一つの手です。

傷を防ぐ日常の扱い方と保管のコツ

傷を防ぐための具体的な使用上の注意を各メーカーの公式サイトで探してみましたが、傷防止に特化した推奨行動を明記したページは今回確認できませんでした。そのため本項では、一般的な金属製品の取り扱い注意の範囲にとどめてお伝えします。

日常でできる傷対策
  • 硬いものとの接触をできるだけ避ける
  • 着脱時に机の角やドアノブなど硬い面にぶつけない
  • 保管時に他の時計やアクセサリーと擦れさせない
  • ブレスレットの重ね付けをする場合は間に布を挟むなど工夫する

これらはあくまで一般的な金属製品の取り扱い注意であり、特定のメーカーが公式に推奨している事項ではない点にご注意ください。SNS上では、時計にブレスレットを重ね付けする際に傷が気にならないか、という悩みが多くの人の共感を集めている投稿も見られました。

EMIRI

特別なお手入れグッズがなくても、日常のちょっとした心がけで変わるんですね。

重ね付けを楽しみたい場合は、素材の硬さが近いアクセサリーを選ぶ、着脱の順番を工夫するといった配慮で、擦れによる傷のリスクをある程度減らすことができます。保管用のケースやポーチを使う場合も、複数本をまとめて無造作に収納すると、時計同士が擦れ合って傷の原因になることがあります。仕切りのあるケースを使う、あるいはそれぞれを柔らかい布で包んでから収納するといった工夫も、日常的な傷対策として有効です。

完璧に傷を避けることは難しいですが、日常のちょっとした配慮の積み重ねで、傷がつく頻度は確実に減らせます。次の項目では、実際に傷がついてしまった後、どう対処すればよいかを見ていきます。

ついてしまった傷の対処法:メーカー研磨サービスの条件

時計メーカーの工房でチタンケースを精密に研磨する職人の手元を捉えたクローズアップ写真
表面処理を剥がしてから研磨し、再び施工し直す手間のかかる工程です

傷がついてしまった後の選択肢として、まず知っておきたいのがメーカー公式の研磨サービスです。シチズンの「研磨リペアサービス」は、対象製品が「ザ・シチズン」「カンパノラ」に限られ、対象箇所もケース部分(裏蓋を除く)とバンド部分の一部にとどまります。

表面処理を一度剥がしてから研磨して、また同じ処理をかけ直す。手間のかかる仕事です。

このサービスでは、デュラテクトのような表面処理をいったん剥離してから研磨し、研磨後に表面処理を再度施工するという工程が明記されています。深い傷は完全には除去できない可能性がある旨の記載もあり、預かり期間は約3か月とされています。

セイコー(グランドセイコー含む)の場合は、「ライトポリッシュ」や「外装リペアポリッシュサービス」がオーバーホールとのセットでのみ提供され、単独での申し込みはできません。公式には「時計の構造、仕上げ、素材によって研磨できない場合がある」と明記されており、めっきやハードコーティングなどが研磨不可の例として挙げられていますが、チタンケース自体を名指しで研磨不可とする記載は確認できませんでした。可否は個別に修理受付窓口で確認する案内になっています。

MOMOMO

「硬くする」ことと「直しやすくする」ことは、実はトレードオフの関係にあります。

表面硬化処理によって硬度を高めるほど、その硬い層を削って再仕上げする研磨作業のハードルも同時に上がります。対応機種が限られたり、費用や期間がかさんだりするのはこのためです。

修理費用の具体的な金額については、一次情報として確認できる出典が見当たらなかったため、本記事では記載を控えます。傷が気になり始めたら、まずはメーカーや専門の修理店に状態を見てもらい、対応可否と見積もりを確認することをおすすめします。

傷が買取査定に与える影響と後悔しない出口戦略

チタン時計を将来手放すことを視野に入れている場合、傷の有無や程度が買取査定にどう影響するのか気になるところです。一般的に、腕時計の査定では傷や汚れといった外装のコンディションが評価項目の一つになると考えられますが、具体的な減額幅や査定額は店舗や個体差によって大きく変わるため、本記事では踏み込んだ数字は扱いません。

EMIRI

売るときのことまで考えると、日頃の手入れも大事になってきますね。

出口戦略として重要なのは、傷の程度そのものよりも、複数店舗での査定比較と、保証書・箱・付属品をきちんと保管しておくことです。付属品が揃っているかどうかは、傷の有無以上に査定額を左右する要素として語られることが多く、日頃からの保管状態の積み重ねが、いざ売却するときの安心材料になります。

傷が気になって早めに手放すか、多少の傷を受け入れて長く使い続けるか。どちらの選択にも一長一短があり、正解は人それぞれです。ただし、どちらを選ぶにしても、保証書や付属品を保管しておくことと、複数の査定を比較することは、後悔を減らすための共通の備えだと言えます。

また、チタン時計はステンレスモデルと比べて中古市場での流通量がブランド・モデルによって異なるため、査定を依頼する店舗によって評価の付き方に差が出ることもあります。傷の状態だけでなく、査定を依頼する店舗選びそのものも、後悔しない出口戦略の一部だと考えておくとよいでしょう。

価格・相場情報の取扱について

検証日:2026年09月。本記事の価格・相場は執筆時点(2026年09月時点)の参考値です。為替・市況により変動するため、購入・売却の判断は最新情報をご確認のうえ行ってください。

よくある質問

チタンの時計は本当に傷つきやすいですか?

純チタン単体の硬度はステンレスと同程度かやや低い水準にとどまるため、傷つきにくいとは言えません。ただし実際に流通しているモデルの多くは表面硬化処理が施されており、傷つきやすさは処理の有無によって大きく変わってきます。

チタンとステンレス、どちらが傷に強いですか?

素材そのものの硬度で比べると、純チタンはステンレスと大差ないか、むしろやや低い水準にとどまります。表面硬化処理が施されたチタンであれば話は別で、処理の種類次第ではステンレスより耐傷性が高くなる場合もあります。

チタンの時計についた傷は消せますか?

メーカーによっては研磨サービスが用意されていますが、対象機種が限られるうえ、表面処理を一度剥がして研磨し直す工程が必要です。深い傷は完全には消えない場合もあるため、事前に確認することをおすすめします。

傷に強いチタン時計はありますか?

グレード5チタンや、シチズンのデュラテクトのような表面硬化処理を施したモデルは、傷に対して比較的強い傾向があります。購入前にグレードや処理の有無、仕上げの種類までスペック表や販売店で確認しておくと安心です。

まとめ:チタン時計の傷は「選び方」で決まる

ここまで、チタン時計の「傷つきやすさ」を、素材単体の硬度データと、時計としての表面処理という二層構造で検証してきました。振り返ると、傷への向き合い方は「グレード」「表面処理の有無」「仕上げ」という3つの観点を押さえれば、購入前にある程度コントロールできることが見えてきます。

MOMOMO

傷を完全にゼロにすることはできませんが、選び方と付き合い方次第で、後悔はぐっと減らせます。

  • 純チタン単体の硬度はステンレスとほぼ同等かやや低い水準にとどまるという出典がある
  • 傷のつきやすさは素材の硬度だけでなく表面硬化処理の有無によって大きく変わってくる
  • シチズンのデュラテクトは公式値で硬度が種類ごとに1,000から2,300HVまで幅がある
  • セイコーやグランドセイコー、チューダーは硬度を示す公式な数値の記載が見当たらない
  • 硬度が低い素材ほど擦り傷や打痕という塑性変形による傷が入りやすい傾向にあるとされる
  • ヘアライン仕上げは筋目の向きと逆方向についた傷ほど目立ちやすい構造になっている点
  • カラーチタンは酸化被膜の色が変わることで傷が色の違いとして目立ちやすくなってくる
  • 「磨けない」と言われるのは表面処理を一度剥がす手間が大きくかかることが背景にある
  • シチズンの研磨は表面処理を一度剥離してから研磨し、再び施工し直す工程が必要になる
  • セイコーの研磨はオーバーホールとのセットでのみ申し込める仕組みに公式でなっている
  • 表面硬化の硬度が高くなるほど傷を消す研磨対応のハードルも同時に上がりやすくなる点
  • ロレックスやチューダーは独自コーティングの硬度を示す公式な数値が確認できていない
  • 傷を防ぐには硬いものとの接触を避ける日常のちょっとした配慮の積み重ねが基本になる
  • 傷の有無や程度は買取査定に影響しうるため、日頃から保管状態を整えておく価値がある
  • グレードと表面処理の違いを見比べて選べば、購入後の後悔をぐっと減らせる選び方になる

チタン時計の「傷つきやすさ」は、素材の生の硬度だけで判断するとイメージを見誤ります。グレードと表面処理、仕上げという3つの視点を持って選べば、傷という弱点とも冷静に付き合いながら、長く愛用できる一本に出会えるはずです。

モデル選びに迷ったら、まず診断で候補を絞るのが近道です。

WATCH DIAGNOSIS

編集部が選んだ80本から、あなたに合う一本を最大5本まで絞り込み。
使う人・予算・使い方など7つの質問で診断【無料・約1分】

オススメ腕時計AI診断を試す →

チタン時計についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

時を旅するツールとして、機械式腕時計を中心とした高級ウォッチのめくるめく世界を、マニアックに情熱的に旅していきたいと思います。
ブライトリングのナビタイマー B01クロノグラフ41を所有。欲しい腕時計は、ポラリス・デイトなど。
ぜひ、「クロノジャーニー」で、一緒に高級腕時計の世界を楽しみましょう!

目次