リシャールミルを買える人の職業と年収の目安とは。成功者の哲学を徹底分析

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リシャール・ミルの時計とカーボンファイバーの背景、F1カーの疾走感
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リシャール・ミルの時計がSNSやメディアで話題になるたび、「一体どんな人が買えるのか」と疑問に思ったことはありませんか。数千万円、時には億を超える価格帯でありながら、多くの成功者を魅了し続けるリシャール・ミル。この記事では、リシャールミルを買える人の具体的な職業や気になる年収の目安について深掘りします。

なぜ高いのか、その価格の背景にあるブランド哲学や技術、そして誰が持っているのか、具体的な有名人やアスリートのオーナー像にも迫ります。また、資産価値やリセールバリューが驚くほど高い理由、正規店での購入方法から中古市場の動向まで、リシャール・ミルを取り巻く経済的な側面も解明します。

この記事を読むと分かること
  • リシャール・ミルを買える人の具体的な職業とオーナー像
  • 所有に必要とされる年収や資産の目安
  • 価格が数千万円以上する哲学的な理由と技術的背景
  • 資産価値としての側面と驚異的なリセールバリューの実態

リシャール・ミルを所有できる人物像と、彼らが共感する唯一無二の価値観を理解することで、現代の成功哲学が見えてくるはずです。

目次

リシャールミルを買える人の職業と年収の目安

高級ラウンジでリシャール・ミルを着用する成功した男女
image: クロノジャーニー作成

リシャール・ミルを所有する人々は、どのような職業に就き、どれほどの経済力を持っているのでしょうか。そのオーナー像を具体的な職業分類や年収の目安から紐解きます。

ターゲットは世界の超富裕層

リシャール・ミルが明確にターゲットとしているのは、「超富裕層」と呼ばれる人々です。具体的には、世界人口の上位わずか0.9%程度にあたり、世界の富の約40%程度を保有している層とされています。これは、金融機関のレポートなどで「UHNWI (Ultra High Net Worth Individuals)」、すなわち純資産が3,000万ドル(約45億円)以上と定義される層とほぼ一致します。

このブランドの時計は、最も安価なモデルでも1,000万円を超え、平均価格は約2,000万円、人気モデルや限定品に至っては1億円を優に超えます。この価格設定は、単なる富裕層(アッパーマス層や純富裕層)ではなく、真に莫大な資産を持つ「超富裕層」でなければ購入が現実的ではないことを示しています。

彼らにとって、数千万円の時計への支出は、自身のライフスタイルや価値観を表現するための投資の一つであり、財政的な破綻をきたすような大きな買い物ではありません。むしろ、彼らの間では、リシャール・ミルを所有することが「億万長者の秘密の握手」と称されることがあります。

これは、他の高級品のように模倣が容易ではなく、その独特のデザインと技術的背景を理解している「知る人ぞ知る」者たちの間でのみ通じる、究極のシグナルとして機能しているためです。その複雑なスケルトン構造と特殊素材は偽造が極めて困難であり、一目でその真正性がわかります。

リシャール・ミルを所有することは、単に「お金持ちである」こと以上に、最先端の技術への理解、極端な価格への許容度、そして何よりもその排他的なネットワークへのアクセスを示唆する、強力な社会的シンボルなのです。ブランド側もこの層に向けて、妥協のない製品だけを提供し続けています。

MOMOMO

人口の0.9%…!まさに選ばれた人たちのための時計なんだね。

オーナー像①:トップアスリート

テニスコートでリシャール・ミルを着用するアスリート
image: クロノジャーニー作成

リシャール・ミルのオーナー像として最も象徴的であり、ブランドアイデンティティの礎石となっているのが、世界の第一線で活躍するトップアスリートたちです。

彼らは単なる広告塔(アンバサダー)ではなく、ブランドの哲学を体現する「パートナー」として位置づけられています。ブランドは彼らと共同で、それぞれのスポーツ特有の極限的な力に耐える時計を開発しています。

その代表例が、プロテニス選手のラファエル・ナダルや、プロゴルファーのバッバ・ワトソンです。

究極の実世界における性能証明

リシャール・ミルは、彼らが実際の試合という極限の環境(強い衝撃、Gフォース)で着用できる時計を開発しています。例えば、ラファエル・ナダルが着用する「RM 27-04」は、12,000G以上の加速度にも耐えることができるとされています。これは、一般的な機械式時計が耐えうる衝撃(数百G程度)とは比較にならない、まさに異常なレベルの耐久性です。

さらに、このRM 27-04は、トゥールビヨンという複雑機構を搭載しながら、ストラップを含めた総重量がわずか30グラムという驚異的な軽量性も実現しています。これは、ナダル選手が試合中に最高のパフォーマンスを発揮できるよう、装着していることを忘れさせるほどの軽さを追求した結果です。

  • ラファエル・ナダル(テニス):RM 27シリーズなど、超軽量・高耐衝撃モデルを共同開発
  • バッバ・ワトソン(ゴルフ):ゴルフのスイングで発生するGフォースに耐えるモデル(例:RM 055)を着用
  • フェリペ・マッサ(F1):ブランド初期からのパートナー。F1の過酷な振動とGに耐えるモデル開発に関与
  • ヨハン・ブレイク(陸上短距離):100m走のレース中に着用。空気抵抗まで考慮されたモデルを開発
  • 宮里優作(ゴルフ):日本人パートナーの一人として、ゴルフシーンで着用

このように、アスリートとのパートナーシップは、単なる宣伝活動にとどまりません。それは研究開発と性能検証プロセスそのものであり、開発された時計は、アスリートが実際に試合で着用し、結果を出すことで、その技術的信頼性を最も公的な形で証明します。

彼らトップアスリートは、自らの肉体を極限まで鍛え上げ、最高のパフォーマンスを追求し続ける存在です。リシャール・ミルがコスト度外視で「妥協なき性能」を追求する姿勢は、彼ら自身の生き方や哲学と深く共鳴します。だからこそ彼らは、この時計を「腕に着けるレーシングマシン」として、自らの分身のように愛用するのです。

オーナー像②:破壊的起業家とIT大物

未来的なオフィスでリシャール・ミルを見る起業家
image: クロノジャーニー作成

リシャール・ミルに強く共感するもう一つの典型的な層が、既存の業界の常識を打ち破ってきた起業家や、IT業界の大物たちです。彼らはしばしば「ディスラプター(破壊的創造者)」と呼ばれます。

このグループは、伝統や歴史といった旧来の権威よりも、革新性(イノベーション)、卓越した技術力、そして未来志向のビジョンを絶対的に重んじます。

「反伝統」の哲学への共鳴

スイスの高級時計といえば、何百年もの歴史、熟練の職人による手作業、金やプラチナといった貴金属の使用が価値の源泉でした。しかし、リシャール・ミルは、その真逆を行きます。

彼らは意図的に伝統的なマニュファクチュール(自社一貫製造)モデルをとらず、航空宇宙産業やF1の世界から持ち込んだチタンやカーボンTPT®といった先進素材を多用し、「重さ」ではなく「究極の軽量性」や「耐久性」に新しいラグジュアリーの価値を見出しました。

この「反伝統」の精神は、古い慣習や既得権益に挑戦し、自らのアイデアとテクノロジーで新たな時代を切り開いてきた起業家たちの価値観と、完璧に一致します。

その象徴的な例が、元ZOZO CEOの前澤友作氏です。彼はアートコレクターや宇宙旅行家としても知られ、常に新しい価値観を提示し続けています。彼がリシャール・ミルの愛用者であることは広く知られており、複数のモデルを所有しています。これは、彼自身のイノベーターとしてのアイデンティティを反映していると言えるでしょう。

彼らにとってリシャール・ミルの時計は、単なる高価なアクセサリーではありません。「私の成功は19世紀の伝統的な遺産ではなく、21世紀の革新的な原則に基づいている」という、彼ら自身の成功哲学を代弁する強力なシンボルなのです。

EMIRI

なるほど!伝統を重んじる時計界に、真逆のアプローチで切り込んだんだね。

オーナー像③:芸能界のアイコン

音楽、映画、ファッション、スポーツなど、エンターテイメント界の頂点に立ち、世界的に影響力を持つアイコン的なセレブリティたちも、リシャール・ミルの主要なオーナー層です。

このグループにとって、リシャール・ミルは究極のステータスシンボルとして機能します。その唯一無二で一目でそれと分かるデザイン、数千万円から億を超える圧倒的な価格、そして極端な希少性は、彼らが手にした「並外れた成功」を最も明確に示すアイテムの一つとなります。

成功の象徴とアートピース

例えば、プロボクサーのフロイド・メイウェザーは、その異名「マネー」が示す通り、豪華なライフスタイルを象徴するアイテムとして、数億円とも言われるフルサファイアケースのモデル(例:RM 56-02)などを所有していることで知られています。

一方で、この時計は単なる富の誇示にとどまりません。音楽プロデューサーでありファッションアイコンでもあるファレル・ウィリアムスは、ブランドと直接コラボレーションし、「RM 52-05 トゥールビヨン ファレル・ウィリアムス」を生み出しました。火星から見た地球を表現したという芸術的な文字盤を持つこのモデルは、彼自身の創造的で未来的な芸術ビジョンを反映した「アートピース」としての側面を強く持っています。

  • ファレル・ウィリアムス(音楽家):RM 52-05などのコラボモデル
  • ジャッキー・チェン(俳優):RM 057 トゥールビヨン ドラゴンなど、彼のアイデンティティと融合したモデル
  • ジェイ・Z(ラッパー):成功の象徴として愛用
  • フロイド・メイウェザー(プロボクサー):数億円のサファイアモデルなど、究極のステータスシンボルとして

このように、エンターテイメント界のアイコンたちは、リシャール・ミルを自らの成功の証として、また自身のパーソナルブランドやアート的な感性と融合するアイテムとして選んでいます。彼らが公の場で着用することで、リシャール・ミルは「成功者が選ぶ時計」としてのイメージをさらに強固なものにしているのです。

リシャールミル愛用の日本人有名人

日本国内においても、リシャール・ミルを愛用する著名人は数多く存在します。彼らの職業もまた、アスリート、起業家、芸能界と、グローバルなオーナー像と一致しており、多岐にわたります。

彼らがリシャール・ミルを選ぶ理由は、その圧倒的なステータス性はもちろん、他者とは違う「本物」の価値、すなわち妥協なき技術力と革新的なデザインへの深い共感があると考えられます。

  • 前澤友作氏(起業家): 元ZOZO CEOであり、アートコレクターや宇宙旅行家としても知られる前澤氏は、複数のリシャール・ミルを所有していることで有名です。世界最薄の機械式時計を含む技術的偉業を象徴するモデルなども愛用しています。
  • 郷ひろみ氏(歌手): 長年にわたり日本のエンターテイメント界のトップスターとして活躍する郷ひろみ氏も愛用者の一人です。日本限定モデル(例:RM 030)などを選ぶ審美眼が注目されています。
  • 秋元康氏(プロデューサー): 日本のポップカルチャーに多大な影響を与えてきたプロデューサーである秋元氏もオーナーとして知られています。
  • 渡辺直美氏(コメディアン): ニューヨークを拠点に、コメディアン、ファッションアイコンとして世界的に活躍する渡辺直美氏。彼女がRM 07-01などのレディースモデルを着用している姿も確認されています。
  • 宮里優作氏(プロゴルファー): ブランドのパートナーとして、ゴルフのスイングにも耐えうるモデルを着用しています。

特に注目すべきは、渡辺直美氏のようなパワフルで成功した女性にもブランドが強く訴求している点です。リシャール・ミルのレディースモデルは、単にメンズモデルを小さくしたり、ダイヤモンドを敷き詰めたりする(もちろんそうしたモデルもありますが)といった従来の手法だけでなく、メンズモデルと同様にカーボンTPT®などの先進素材を使用し、技術的な妥協を一切せずに、独自の美学を確立しています。

これらの例からも分かる通り、日本においてもリシャール・ミルは、各分野で「頂点」を極め、既存の枠にとらわれない成功者たちに選ばれるブランドとして、確固たる地位を築いています。

リシャールミルに必要な年収の目安

リシャール・ミルを購入できる人物の年収について、ブランドが公式な基準を公表しているわけではありません。しかし、その圧倒的な価格帯から、一定の目安を推測することは可能です。

前述の通り、平均価格が約2,000万円、人気モデルは数千万円から1億円を超えることを考慮すると、年収が少なくとも1億円以上あることが一つの目安となると考えられます。

しかし、より重要な指標は「年収」そのものよりも「純資産」です。

年収よりも純資産が重要な理由

仮に年収が1億円あったとしても、そこから所得税や住民税などの税金(最高税率では半分近く)が引かれ、さらに社会的地位に見合った生活費や交際費、住居費なども発生します。残った可処分所得から、ポンと数千万円の時計を購入するのは、いかに高年収であっても非常に大きな決断であり、現実的とは言えません。

したがって、現実的な購入者層は、以下のような人々であると推測されます。

  • すでにビジネスを成功させており(例:IPO、M&Aによるイグジット)、数十億円以上の金融資産やキャッシュ(現金)を持つ起業家や投資家
  • 代々続く資産家や、不動産・有価証券などで莫大な資産(純資産)を築いている人々
  • 年俸が数十億円に達し、かつスポンサー収入なども莫大で、資産形成が完了しているトップアスリートやスーパースター

つまり、数千万円、あるいは1億円の支出が、自身の総資産に大きな影響を与えない(例:総資産の1%〜数%程度)レベルの「超富裕層」が、リシャール・ミルの現実的なターゲットなのです。

彼らにとって、リシャール・ミルの購入は、単なる「消費」ではありません。後述するように、その時計はアート作品や限定的なスーパーカー、不動産などと同じく、「実物資産(Passion Investment=情熱投資)」として、資産ポートフォリオの一部を構成する「動産」という形のアートピースやトロフィー資産として認識されている側面が強いのです。

EMIRI

なるほど…。年収1億円でも厳しい世界。総資産が数十億あって、初めてスタートラインに立てるかどうか、ということか。

リシャールミルを買える人が共感する哲学と価格

カーボンTPT®の素材とF1マシンの設計図
image: クロノジャーニー作成

リシャール・ミルの価格は、なぜ数千万円から億を超えるのでしょうか。それは、時計製造の常識を超えた「哲学」と「技術」、そして「希少性」に裏打ちされています。オーナーたちは、その価格の奥にある妥協なき姿勢にこそ価値を見出しています。

理由①:妥協なき「F1」の哲学

リシャール・ミルの異常とも言える価格を理解する上で、避けては通れない最も重要な概念が、ブランドの核となる「腕時計のF1(腕に着けるレーシングマシン)」という哲学です。

F1マシンは、勝利という唯一絶対の目的のために、一切の妥協を排除して開発されます。そこには「コスト」という概念は二の次であり、当代最高の技術、最先端の素材、そして最高のエンジニアリングが、文字通り湯水のように注ぎ込まれます。F1マシンに存在するすべての部品は、機能的な理由(速さ、耐久性、軽量性)のために存在し、「装飾」や「伝統」のために追加されるものは何一つありません。

リシャール・ミルは、この哲学を21世紀の時計製造に真正面から持ち込みました。創業者リシャール・ミル氏は、「私の時計にコストは関係ない」と公言しています。これは単なるキャッチフレーズではなく、ブランドの価格設定ロジックそのものを表しています。

「原始的」な価格設定

一般的な高級時計の価格は、金やダイヤモンドといった素材の原価、製造コストに加え、ブランドの歴史的価値、マーケティング費用、そして競合他社の価格帯などを考慮した「市場価格」として設定されます。しかし、リシャール・ミルはこれを否定します。

彼らの価格設定ロジックは「原始的」と表現されています。すなわち、

(研究開発費 + 工作機械導入費 + 素材費 + 製造費) ÷ 極めて少ない生産本数 = 1本あたりの原価

という、極めて単純な計算に基づいています。例えば、あるモデルの開発に5億円を投資し、それを50本しか製造しなければ、利益(マージン)を乗せる前の「製造経費」だけで1本あたり1,000万円に達します

この哲学に基づき、ミクロン単位の超精密加工が求められる結果、小さなネジ1本ですら100ドル(約1万5千円)以上のコストがかかることがあるとされています。

リシャール・ミルを買える人、すなわちオーナーたちが購入しているのは、金やダイヤモンドといった伝統的なラグジュアリーの価値ではありません。彼らは、この「一切の妥協を許さない性能追求」というF1の哲学そのものに、数千万円の対価を支払っているのです。それは、彼ら自身がそれぞれの分野で頂点を極めるために行ってきた、妥協のない努力と選択の哲学と、深く共鳴するからに他なりません。

MOMOMO

価格は最初から決まっているのではなく、最高の性能を追求した結果として決まるんだね。

理由②:コスト度外視の先進素材と技術

リシャール・ミルのムーブメントと先進素材のクローズアップ
image: クロノジャーニー作成

「F1の哲学」を物理的に具現化しているのが、他の時計ブランドでは使用されない(あるいは使用できない)特殊な先進素材と、それを加工するための超高精度な技術です。

リシャール・ミルは、時計業界の伝統的な価値観(金やプラチナの「重さ」)を意図的に否定し、航空宇宙産業やF1、医療分野から持ち込まれた素材による「究極の軽量性」と「耐久性」に、新しいラグジュアリーの価値を見出しました。

  • チタン(グレード5): 軽量でありながら高い強度と耐食性を持つ合金。航空宇宙産業や医療インプラントに使用されます。しかし、加工が非常に困難で、例えばムーブメントの土台となる「地板」をチタンで製造する場合、原材料の実に6割が切削・研磨の過程で廃棄されると報告されています。
  • カーボンTPT® / クオーツTPT®: カーボンファイバーやクオーツの繊維を分離させたシートを何層にも重ね、高圧・高温で成形する独自の複合素材。F1のモノコックシャーシやヨットの帆にも使われる技術が応用されており、驚異的な軽量性と強靭性、そして(結果として)独特の美しい木目のようなダマスカス模様が生まれます。
  • ALUSIC®: 人工衛星の構体などに用いられるアルミニウムとシリコンカーバイドの合金。
  • サファイアクリスタル: ケース全体を透明なサファイアクリスタルの塊から削り出すモデル(例:RM 56-02)。ダイヤモンドに次ぐ硬度を持つため、その加工には膨大な時間とコストがかかり、価格は数億円に達します。

F1チーム型の「コンセプター」モデル

これらの素材を加工し、時計として組み上げるプロセスもまた独特です。創業者リシャール・ミル氏は、自身を伝統的な「時計師」ではなく「コンセプター(概念設計者)」であると定義しています。

ブランドは、あえて伝統的なマニュファクチュール(自社一貫製造)モデルとは逆の戦略をとっています。それは、ムーブメント、ケース、針など、各分野で世界最高の専門技術を持つサプライヤーに部品を外注し、それらを結集させるというアプローチです。これは、F1チームがエンジン、シャシー、空力パーツなど、各分野の専門サプライヤーから最高の部品を調達する戦略と酷似しています。

例えば、複雑なケースは「ドンツェ・ボーム社」、ムーブメントは「オーデマ・ピゲ・ルノー・エ・パピ(APRP)」といった最高峰の専門工房が担当します。このモデルにより、ブランドは自社の製造能力に縛られることなく、素材科学からマイクロメカニクスまで、あらゆる分野で利用可能な最先端技術を躊躇なく採用できるのです。

もちろん、この「最高のものだけを集める」アプローチは、コストを劇的に押し上げます。ケースには、ムーブメントの部品と同等のミクロン単位(1000分の1ミリ)の加工精度が要求され、従来の時計製造の常識を遥かに超えた時間とコストがかけられています。この「コスト度外視の技術結集」こそが、数千万円という価格の直接的な理由です。

MOMOMO

素材と加工技術がすごすぎて、もはや時計というより精密工学のアートピースだね…。

理由③:意図された希少性と生産本数

リシャール・ミルの圧倒的な価値を決定づける最後の要因は、その極端なまでの希少性です。

リシャール・ミルの年間の総生産本数は、数千本程度とされています。

この数字がいかに少ないか、他の主要な高級時計ブランドと比較すると一目瞭然です。

ブランド 推定年間生産本数
リシャール・ミル 数千本程度
オーデマ・ピゲ 約 31,000 本 ~ (近年は5万本とも)
パテック・フィリップ 約 60,000 本 ~
ロレックス 約 800,000 本 ~ 1,000,000 本以上
(※各推定値は市場レポートに基づく概算)

ご覧の通り、リシャール・ミルの生産本数は、オーデマ・ピゲやパテック・フィリップといった他の独立系最高峰ブランドと比較しても数分の一、ロレックスと比べればまさに「誤差」とも言えるほどの少なさです。

必然としての希少性

重要なのは、この希少性が、需要を煽るための「人工的なマーケティング戦略」として意図的に生産を制限しているというよりも、前述の「コスト度外視の哲学」と「複雑な製造プロセス」の必然的な結果である、とブランドが説明している点です。

コスト度外視の特殊素材を、ミクロン単位の精度で加工するには、膨大な時間がかかります。また、リシャール・ミルの極めて厳格な品質管理基準により、基準に満たない部品は容赦なく破棄されます。

その結果、物理的に年間数千本程度しか製造できないのです。

この「極端な供給の少なさ」が、全世界の「超富裕層」という(人数は少なくとも購買力は絶大な)層からの強烈な需要と組み合わさります。その結果、リシャール・ミルは「欲しくても、お金を出しても、手に入らない時計」の代名詞となり、その希少価値とブランドの排他性を、他の追随を許さないレベルにまで高めているのです。

正規店での購入方法とウェイティングリスト

では、リシャール・ミルを新品の定価で購入するには、具体的にどうすればよいのでしょうか。その唯一の公式ルートは、正規ブティックを通じて注文することです。

日本国内には、リシャール・ミルの正規ブティックが「銀座」「新宿(伊勢丹)」「大阪」「神戸」の4店舗存在します。

しかし、現実には、その道は極めて険しいと言わざるを得ません。前述の通り、生産本数が全世界の需要に対して圧倒的に不足しているため、これらのブティックにフリーの在庫(予約なしで訪れた顧客が即時購入できる商品)が並ぶことは、まずありません。

ウェイティングリストと「ブランドとの関係性」

購入を希望する場合、まずはブティックを訪れて顧客として登録し、希望するモデルを伝えてウェイティングリスト(入荷待ちリスト)に名前を連ねることから始まります。しかし、人気モデルの待ち時間は数年に及ぶことも珍しくないとされています。

さらに、このウェイティングリストは、単純な「先着順」ではないと広く認識されています。

  • すでにリシャール・ミルの時計を複数所有している既存の優良顧客(お得意様)
  • ブランドが主催するイベント(F1やクラシックカーレースなど)に積極的に参加し、ブランドの哲学を深く理解していると認められた顧客
  • ブランドにとって重要と見なされる社会的影響力を持つ人物

こうした顧客に、希少なモデルの「割り当て(購入権)」が優先的にオファーされることが多いようです。

したがって、全くの新規の顧客が、正規ブティックを一度訪れただけで人気モデルを定価で購入することは、限りなく不可能に近いのが実情です。この正規ルートでの入手が極端に困難であるという事実こそが、次に説明する二次市場(中古市場)の異常な高騰を生み出す直接的な原因となっています。

EMIRI

正規店で買えないから、中古市場に需要が集中するわけか…。

資産価値と驚異的なリセールバリュー

高級金庫に保管されたリシャール・ミルの時計
image: クロノジャーニー作成

正規店での購入が極めて困難である結果、リシャール・ミルを手に入れたいという世界中の莫大な需要は、二次市場(中古市場)へと向かいます。そして、そこで驚異的な価格高騰が常態化しています。

多くの高級品(車、バッグ、時計)は、一度「中古」となれば、その価値は定価を下回るのが一般的です。しかし、リシャール・ミルは、ロレックスの一部モデルやパテック・フィリップの特定モデル以上に、その常識から逸脱しています。

人気モデルの多くが、中古品でありながら定価を大幅に上回る価格(プレミア価格)で取引されているのです。中には、定価の2倍、3倍、あるいはそれ以上になるケースも珍しくありません。一部モデルのリセール率が300%を超えるケースもあります。

資産クラスとしての時計

この現象により、リシャール・ミルは「腕に着ける資産」としての側面を強く持つようになりました。もはや単なる時計ではなく、不動産やアート、クラシックカーといったものと同列の、「有形資産クラス(Passion Investment)」として投資対象と見なされているのです。

  • RM 055(バッバ・ワトソン):定価約1,300万円 → 二次市場 約5,000万円以上(約385%)
  • RM 35-02(ラファエル・ナダル):定価約1,170万円~ → 二次市場 約6,000万円(約512%)
  • RM 11-03(マクラーレン):定価約3,700万円~ → 二次市場 約7,200万円(約195%)
  • RM 023(標準モデル):定価約1,200万円 → 二次市場 約2,000万円以上(約167%)

この高いリセールバリューが、皮肉なことに、さらに購入のハードルを下げ、需要を喚起しています。「たとえ数千万円払っても、売却時には同額かそれ以上で戻ってくる可能性が高い。ならば、実質的なコスト(所有コスト)はゼロ、あるいはプラスになる」という、富裕層ならではの合理的な投資判断が働くのです。

正規ルートでの入手が困難な現実が二次市場の価格を高騰させ、その高騰した価格がメディアで報道されることで「トロフィー資産」としての名声が高まり、さらに富裕層の需要を刺激する…リシャール・ミルは、この強力なフィードバックループによって、その価値を不動のものにしていると言えるでしょう。

EMIRI

定価で買えないから中古価格が上がり、その中古価格の高さがまた「資産価値」という新たな魅力になる…まさに無敵の循環だ。

総括:リシャールミル買える人の共通点

MOMOMO

最後に、今回の記事内容のポイントをまとめます。

  • リシャールミルがターゲットとするのは純資産数十億以上の「超富裕層」
  • オーナー像は主にトップアスリート、破壊的起業家、芸能界のアイコン
  • アスリートは極限の環境下で性能を証明するブランドの「パートナー」
  • 起業家は伝統に縛られない「反伝統」や「革新性」の哲学に共感する
  • 日本人オーナーには前澤友作氏、郷ひろみ氏、渡辺直美氏らがいる
  • 購入に必要な目安は年収1億円以上、またはそれ以上の純資産が前提
  • 価格は「F1の哲学」に基づきコストを積み上げて原始的に決定される
  • 金やプラチナではなくチタンやカーボンTPT®など先進素材を多用する
  • 加工はミクロン単位の精度が求められコストを度外視して行われる
  • F1チーム型で各分野最高のサプライヤーから技術を結集し製造する
  • 年間生産本数は数千本程度と他ブランドと比べ極端に少なく希少性が高い
  • 正規ブティックは国内4店舗だがウェイティングリストは数年待ちが常態
  • 新規顧客が正規店で人気モデルを入手することは極めて困難である
  • 二次市場では定価を大幅に超えるプレミア価格で取引されている
  • リセール率が300%を超えるモデルもあり「資産クラス」として認識される
  • オーナーは価格でなく妥協なき哲学と性能、そして希少性に価値を見出している

今回は、リシャールミルを買える人をテーマに、その具体的な職業や年収の目安、そして彼らが共感するブランドの哲学と価格の理由について徹底的に分析しました。リシャール・ミルが単なる高級時計ではなく、オーナーの成功哲学を代弁する「腕に着けるF1マシン」であり、妥協なき性能追求と圧倒的な希少性こそがその価値の源泉であることを、ご理解いただけたのではないでしょうか。

高級時計の世界にさらに興味を持たれた方は、他のブランドの分析記事も参考になるかもしれません。

例えば、時計製造の伝統的な頂点について知りたい場合は、パテック・フィリップに関する記事もおすすめです。

また、リシャール・ミルとは異なるアプローチで革新を続ける他の独立系ブランドについても、今後ご紹介していく予定です。

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