はじめまして、「クロノジャーニー」の運営者、momomoと申します。
東京近郊で暮らす、ごく普通の42歳サラリーマンです。建設会社で設計エンジニアとして働き始めて、気がつけば18年が経ちました。趣味は腕時計の収集と、休日の家族との時間。そして最近は、このブログの執筆も大切な時間となっています。
なぜ一介のサラリーマンである私が腕時計ブログを始めたのか。それにはちょっとした物語があります。時計との出会いから現在に至るまでの道のり、そしてこのブログにかける想いについて、少しお時間をいただいてお話しさせてください。
時計との出会いと歩んできた道
社会人としてのスタートと時計への目覚め
私と時計との最初の出会いは、大学4年生の就職活動でした。リクルートスーツに合わせるために購入したセイコーのドレスウォッチ。当時の私にとっては大きな買い物でしたが、その精密な機械式ムーブメントが刻む規則正しいチクタクという音に、なぜか心を奪われました。
時計の針が正確に時を刻む様子を眺めていると、まるで小さな宇宙を手首に身につけているような感覚になったのを今でも覚えています。機械工学を学んでいた私にとって、あの小さなケースの中に精密な歯車やゼンマイが組み込まれている事実は、純粋に技術的な驚きでもありました。
社会人になって最初のボーナスで購入したのは、シチズンのエコドライブでした。「電池交換不要で一生使える」というコンセプトに魅力を感じ、「これぞ一生モノ」と胸を躍らせたものです。当時の私は、時計に対して非常に実用的な価値観を持っていました。長く使えて、正確で、メンテナンスの手間がかからない。それが良い時計だと信じて疑いませんでした。
しかし、その考えが大きく変わる出来事が待っていました。
初めてのスイス製高級時計との運命的な出会い
転機となったのは、31歳の時でした。結婚記念日に何か特別なものを、と考えていた時、偶然立ち寄った時計店でブライトリングのナビタイマーと出会ったのです。
正直に申し上げると、当初の私はロレックスやオメガといった、誰もが知る有名ブランドにしか興味がありませんでした。しかし、ナビタイマーの複雑で美しい文字盤を見た瞬間、これまで感じたことのない感動に包まれました。
航空計算尺が組み込まれた文字盤は、まさに機能美の極致でした。パイロットが実際に飛行計算に使用するためのツールが、これほど美しいデザインとして昇華されている。エンジニアである私の心は完全に奪われました。店員さんから「ブライトリングは航空界との深いつながりを持つブランドで…」という説明を聞きながら、私の頭の中では既に購入が決定していました。
妻に相談すると、「せっかくの記念日だから、本当に気に入ったものを」と背中を押してくれました。今思えば、この時の妻の言葉が、その後の私の時計人生を大きく左右することになったのです。
ナビタイマーを手に入れた私は、初めてスイス製機械式時計の真の魅力を知りました。クォーツ時計とは異なる、わずかに不規則なリズムで刻まれる秒針の動き。手首の動きによってローターが回転し、ゼンマイが巻き上げられる感覚。そして何より、人間の手によって組み立てられた精密機械が、確実に時を刻み続けてくれる安心感。
これらすべてが、私にとって新鮮な驚きでした。同時に、「みんなが知ってるけど、みんなが選ばないブランド」の魅力に気づいたのも、この時でした。
「王道を避ける美学」の確立
ナビタイマーとの出会い以降、私は時計に対して独特の価値観を育てていくことになります。それは「技術力や歴史は超一流なのに、なぜかロレックスほど有名ではないブランド」への深い愛着でした。
33歳の時に購入したジャガールクルト・レベルソは、その象徴的な存在でした。1931年にポロ競技のために開発されたリバーシブルケースの腕時計。アールデコの美しいデザインと、ケースを反転させるという独創的なアイデア。これほど革新的で美しい時計が、一般の人にはあまり知られていないことに、私は逆に特別感を覚えました。
36歳で手に入れたブランパン・フィフティファゾムスも同様でした。現代ダイバーズウォッチの原型とも言われるこの時計の歴史的価値を理解している人は、時計愛好家の中でもそれほど多くありません。しかし、その技術的な革新性と美しいデザインは、私の心を完全に捉えました。
そして40歳の節目のユリスナルダン・マリーントルピュール。エナメルダイヤルの美しさと、独創的なシリシウム技術への感動は今でも忘れられません。周囲からは「渋い選択ですね」と言われることが多くなりましたが、それこそが私の求めていた評価でした。
この頃の私は、明確に「王道を避ける美学」を確立していました。誰もが知っているブランドよりも、時計好きが唸るブランドを選ぶ。知名度ではなく、技術力や歴史、そしてムーブメントの美しさや独創性を重視する。それが私なりの時計に対するこだわりでした。
揺れ動く現在の心境と新たな発見
しかし、40代に入った現在、私の心境には微妙な変化が生まれています。
きっかけは些細なことでした。高校生の息子に私の時計を見せた時、「お父さんの時計、友達が全然知らないよ」と言われたのです。その瞬間、私は複雑な感情に襲われました。
確かに私は、人とは違う選択をすることに誇りを持ってきました。しかし、息子の何気ない一言は、私に新たな視点を与えてくれました。時計は単なる個人的な趣味の対象ではなく、コミュニケーションのツールでもあるのではないか、と。
それから私は、ロレックスについて改めて深く調べるようになりました。確かにロレックスは多くの人に愛されるブランドです。しかし、その人気は決して偶然ではありません。卓越した技術力、一貫した品質管理、そして何より、時計そのものの魅力があるからこそ、多くの人に選ばれ続けているのです。
「ロレックスを買ったら負けかも」という気持ちと、「でも本当に欲しい」という素直な気持ち。この矛盾した感情を抱えながら、私は時計について、そして自分自身について、より深く考えるようになりました。
最近では、妻からも「普通にわかりやすいやつも一本あってもいいんじゃない?」と言われることがあります。職場の同僚からも同様の意見を聞くことが増えました。
この経験を通じて、私は大切なことに気づきました。時計の魅力は、独自性や希少性だけにあるのではありません。多くの人に愛される理由があるからこそ王道となり、そこにもまた深い魅力があるのです。
現在の私は、これまで築いてきた「王道を避ける美学」を大切にしながらも、より広い視野で時計の世界を見つめるようになっています。そして、この変化こそが、私がブログを始めるきっかけとなったのです。
このブログにかける想いと提供したい価値
サイト名は、時間を意味する「クロノス」と旅の「ジャーニー」を合わせた造語です。
時を旅するツールとして、機械式腕時計を中心とした高級ウォッチのめくるめく世界を、マニアックに情熱的に旅していきたいと思います。
なぜ今、ブログを始めるのか
私がこのブログを始めた理由は、シンプルでありながら深い想いがあります。
これまで私は、時計を純粋に個人的な趣味として楽しんできました。新しい時計を購入する時の高揚感、それぞれの時計が持つ歴史やストーリーを知る喜び、精密な機械が手首で刻む時の感動。これらはすべて、私一人の内側で完結する体験でした。
しかし、40代を迎えた今、これらの体験や知識を同じように時計を愛する人々、あるいはこれから時計の世界に足を踏み入れようとする人々と共有したいという強い気持ちが生まれました。
特に、私のような一般的なサラリーマンが時計をどのように選び、どのように楽しんでいるかということは、多くの人にとって参考になるのではないかと考えています。時計専門誌や業界関係者のブログは数多くありますが、等身大の時計愛好家の視点で語られるコンテンツは、意外に少ないのが現状です。
また、私自身の時計に対する価値観の変化も、このブログを始める大きな動機となりました。「王道を避ける美学」から「より広い視野での時計観」への変化を経験した今だからこそ、時計の多様な魅力を伝えることができると確信しています。
時計は決して安い買い物ではありません。特に高級時計となれば、多くの人にとって人生の中でも大きな決断の一つとなるでしょう。そんな重要な選択を前にした時、実際に時計を愛用している一般の愛好家の体験談や考え方は、きっと役に立つはずです。
一般的なサラリーマンだからこそ伝えられること
私は時計業界の人間ではありません。販売員でもなければ、時計メーカーの関係者でもありません。ただの設計エンジニアであり、家族を持つ一般的なサラリーマンです。
しかし、だからこそ伝えられることがあると信じています。
まず、限られた予算内での時計選びの現実です。時計専門誌では数百万円、時には数千万円の時計が当たり前のように紹介されますが、多くの人にとってそれらは別世界の話です。私のように、年に一本、あるいは数年に一本のペースで時計を購入する人にとって、一本一本の選択は非常に重要な意味を持ちます。
その選択をどのような基準で行うか、購入後にどのような満足や後悔を感じるか、そして家族との関係をどのように保ちながら趣味を続けるか。これらは、業界関係者では語れない、実際の愛好家だからこその体験談です。
また、時計を実生活でどのように使っているかという視点も重要です。デスクワークが中心の私にとって、ドレスウォッチとスポーツウォッチはどちらが実用的か。家族との外出時にはどの時計を選ぶか。これらは些細なことかもしれませんが、実際に時計を生活の一部として取り入れようとする人にとっては、とても参考になる情報だと思います。
さらに、時計に対する価値観の変化も、同じような立場の人には共感していただけるのではないでしょうか。独身時代と家庭を持ってからの時計選びの違い、年齢を重ねることで変わる時計への向き合い方。これらの変化を正直に記録し、共有することで、読者の皆様の時計ライフにも何かしらの参考になればと考えています。
読者の皆様と共に歩みたい時計の世界
このブログを通じて、私が最も大切にしたいのは、読者の皆様との双方向のコミュニケーションです。
時計の魅力は、一人で感じるものではありません。同じ時計を愛する人同士が体験や知識を共有し、それぞれの視点から語り合うことで、より深く、より豊かなものになると信じています。
また、時計選びで迷った時の思考プロセスや、実際に店舗で試着した時の感想なども記録していきます。「この時計とあの時計で迷って、最終的にこちらを選んだ理由」といった内容は、同じような選択肢で迷っている方には特に参考になるのではないでしょうか。
さらに、私が現在進行形で悩んでいる「ロレックス問題」についても、正直にお話ししていく予定です。これまでの美学を貫くか、それとも王道の魅力に素直に向き合うか。この決断の過程を読者の皆様と共有し、ご意見をいただければと思っています。
もちろん、私の知識や経験には限界があります。時には間違いを犯すこともあるでしょう。しかし、そんな等身大の姿こそが、このブログの価値だと考えています。完璧な専門家ではなく、皆様と同じように時計を愛し、時には迷い、悩みながら時計ライフを送る一人の愛好家として、率直な体験をお伝えしていきたいと思います。
時計の世界は奥深く、終わりがありません。技術の進歩、新しいブランドの登場、そして自分自身の価値観の変化。常に新しい発見と学びがあります。
このブログが、時計を愛するすべての人にとって、そして時計の世界に興味を持ち始めた人にとって、少しでも役に立つ場所になることを心から願っています。そして、読者の皆様からのコメントやご意見を通じて、私自身も更なる成長を続けていきたいと考えています。
最後になりましたが、お忙しい中このプロフィールを最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからも末永くお付き合いいただければ幸いです。時計という共通の趣味を通じて、素晴らしい出会いと学びの場を皆様と共に築いていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
momomo