いつかはロレックス、と憧れを抱いてカタログやウェブサイトを眺めていると、必ずと言っていいほど目にするのがオイスターパーペチュアルというモデルですよね。シンプルで洗練されたデザイン、そしてロレックスの中では比較的手が届きやすい価格設定。これなら最初の1本にいいかもと考える方も多いのではないでしょうか。
でも、ちょっと待ってください。一番安いから、とか入門用だからという理由だけで、この時計を選ぼうとしていませんか? もしそうだとしたら、あまりにももったいない! 実はこのモデル名には、ロレックスというブランドの歴史を根本から覆した、とんでもない革命的な意味が隠されているんです。
「オイスター(牡蠣)」と「パーペチュアル(永遠)」。
一見すると時計とは何の関係もなさそうな、むしろ少し奇妙にさえ思えるこの二つの単語。しかし、この言葉の組み合わせこそが、ロレックスを世界一の知名度と信頼性を誇るブランドへと押し上げた原動力そのものなんですよ。「入門機」なんて言葉で片付けるにはあまりにも偉大なその正体、知りたくありませんか? ここ、時計好きなら絶対に知っておきたいポイントですよね。
- 「オイスター」と「パーペチュアル」という言葉の本来の意味と由来
- ロレックスの3大発明のうち2つを搭載した歴史的な重要性
- なぜ「入門機」ではなく「プロも認める傑作」なのかという理由
- 資産価値やサイズ選びなど購入前に知っておくべき実用情報
この記事を読むことで、なぜロレックスはオイスターパーペチュアルなのかという大きな問いへの答えがクリアになり、単なる一番安いモデルという認識が、あえてこれを選びたい歴史的傑作へと変わるはずですよ。
オイスターパーペチュアルという言葉の意味と歴史的背景

モデル名に込められた言葉の起源と、それが時計史に与えた衝撃的な影響について深掘りしていきます。単なるキャッチーなネーミングではなく、創業者の執念と哲学そのものが刻まれていることが分かりますよ。
なぜ「牡蠣」なのか?オイスターケースが変えた時計の常識
ロレックスを深く理解する上で絶対に避けて通れないのが、「オイスター(Oyster)」という言葉の意味です。直訳すると、皆さんもよくご存知の、あの海のミルクと呼ばれる「牡蠣(カキ)」のことですよね。高級時計のモデル名に、なぜ宝石や神話の神様の名前ではなく、あえて貝類の名前を付けたのでしょうか? ここには、創業者の強烈なメッセージが込められているんです。
時計の歴史を少し振り返ってみましょう。1920年代当時、腕時計というものはまだ、信頼性に欠ける「壊れやすい装身具」という扱いでした。紳士たちは懐中時計をベストのポケットに入れて守っていましたが、手首に巻く腕時計は無防備そのもの。雨に濡れればすぐに錆びるし、風が吹けば砂埃が内部に入り込んで、歯車を詰まらせて止まってしまうのが当たり前だったのです。「腕時計なんて実用的じゃないよ」と誰もが思っていた時代でした。
そんな常識を覆そうとしたのが、ロレックスの創業者ハンス・ウィルスドルフです。彼は1926年、金属の塊を精密に加工し、ベゼル(ガラス縁)、裏蓋、そしてリューズ(時刻合わせのツマミ)をすべてねじ込み式にするという画期的な構造を発明しました。
- 名前の由来に関する有名なエピソード:ウィルスドルフがある晩餐会に出席した際、牡蠣の殻をナイフでこじ開けようとして大苦戦しました。その時、彼はふと気づいたのです。「この牡蠣は、冷たく厳しい海の中で生き抜くために、殻を固く閉ざして中の柔らかい身を守っているではないか」と。この生物としての完璧な防御システムに感銘を受けた彼は、自分の発明した防水ケースに「オイスター」と名付けたと言われています。
つまり、オイスターケースとは、「牡蠣の殻のように固く口を閉ざし、中のデリケートなムーブメント(真珠)を水や埃、圧力から完璧に守り抜く」という、エンジニアリングのマニフェスト(宣言)だったのです。単に「防水時計(Waterproof Watch)」と呼ぶのではなく、生き物の生態になぞらえたことで、その堅牢さはより直感的に人々に伝わりました。
このねじ込み式構造の発明によって、腕時計は初めて「水洗いができる」「雨の日でも使える」という実用性を手に入れ、人類のライフスタイルを劇的に変えることになったのです。現代のロレックスが、たとえダイバーズウォッチでなくとも非常に高い防水性能を誇っているのは、すべてのモデルがこの「オイスターの遺伝子」を受け継いでいるからに他なりません。
「永遠」を刻む発明!パーペチュアル機構の仕組みと革新性

次に、名前の後半部分である「パーペチュアル(Perpetual)」の意味を紐解いていきましょう。英語の辞書を引くと「永続する」「絶え間ない」「果てしない」といった意味が出てきますが、ロレックスの世界においてこれはズバリ自動巻き機構のことを指します。
「なんだ、ただの自動巻きか」と思いましたか? でも、当時の状況を考えると、これは「ただの」自動巻きではありません。まさに魔法のような技術だったんです。
1926年にオイスターケースを発明して「完全防水」を実現したロレックスですが、実はまだ致命的な弱点が残っていました。それは時計が「手巻き」だったことです。ねじ込み式のリューズは防水性に優れていますが、ゼンマイを巻くためには毎日リューズのねじを緩めて、巻き上げて、またねじ込んで……という操作が必要でした。
これには大きなリスクが2つあります。
一つは、毎日の操作で防水パッキンやねじ山が摩耗してしまうこと。もう一つは、うっかりリューズをねじ込み忘れたまま水仕事をしてしまい、浸水させてしまうヒューマンエラーです。
「人間が操作する限り、完全な防水は維持できない」。そう気づいたウィルスドルフは、1931年、手首のわずかな動きをエネルギーに変える360度全回転ローターを開発しました。これが世界初の画期的な自動巻きメカニズム、パーペチュアルローターです。
- 永遠の運動:着用している限り、ゼンマイが勝手に巻き上げられ、時計が止まることがない。「永久機関」への憧れを現実のものにしました。
- 完全防水の完成:リューズを操作する必要がなくなったため、オイスターケースの密閉性を常に保つことが可能になりました。
- 精度の向上:常にゼンマイが巻き上げられた状態を保てるため、トルク(駆動力)が安定し、時間のズレが少なくなりました。
それまでの自動巻き時計(バンパー式など)は、ローターが半回転しかせず、効率が悪いうえに「コツン、コツン」という衝撃がありましたが、ロレックスのパーペチュアルは静かに、滑らかに、そして永遠に回転し続けます。
つまり、「オイスターパーペチュアル」という名前は、「水が入らない鉄壁のケース(盾)」と「止まることのない無限のエンジン(矛)」を融合させた、最強の時計であることを高らかに宣言しているわけですね。
MOMOMOなるほど!技術の裏には深い哲学があるんですね。
ドーバー海峡を渡った伝説!メルセデス・グライツの挑戦


技術的に素晴らしいものができたとしても、当時の人々は疑い深いものでした。「水に入っても大丈夫? 本当に?」と。
そこでハンス・ウィルスドルフが行ったのが、時計業界の伝説として語り継がれる壮大な実証実験(デモンストレーション)です。舞台はイギリスとフランスを隔てるドーバー海峡。1927年、ロンドンの若い速記記者であり、水泳選手でもあったメルセデス・グライツという女性が、この冷たく荒れた海を泳いで渡るという挑戦に打って出ました。
ウィルスドルフはこのチャンスを見逃しませんでした。彼はグライツに手紙を書き、彼女の首に開発したばかりの「ロレックス・オイスター」を下げて泳いでもらう約束を取り付けたのです。これは現代で言うところの「インフルエンサーマーケティング」の先駆けとも言えるでしょう。
10月のある寒い日、彼女は海に入りました。10時間以上にも及ぶ過酷な泳ぎ。海水温は低く、波は荒く、彼女自身の体は限界に達していました。最終的に彼女は昏睡状態に近い疲労で救助されましたが、ウィルスドルフが固唾を飲んで見守っていたのは、彼女の首元に輝く時計でした。
結果はどうだったと思いますか? なんと、時計内部には水滴一つ入っておらず、秒針は正確にリズムを刻み続けていたのです。
この事実に狂喜したウィルスドルフは、翌日のイギリスの大衆紙『デイリー・メール』の一面広告を買い取り、こう宣言しました。「The Wonder Watch that Defies the Elements(自然の驚異に打ち勝つ驚異の時計)」



この広告によって、ロレックスの名前は一夜にして世界中に知れ渡りました。オイスターパーペチュアルを持つということは、単に防水時計を持つということ以上に、この「人類の挑戦と勝利のストーリー」を所有することと同義なんですよ。
ロレックスの3大発明のうち2つを搭載した「原点」
時計好きの間でよく試験に出る(?)知識として、「ロレックスの3大発明」というものがあります。ロレックスが現在の地位を築けたのは、この3つの発明があったからこそだと言われています。
| 1. オイスターケース | 1926年発明:世界初の完全防水ケース。金属の塊を削り出し、ねじ込み式で密閉。 |
|---|---|
| 2. パーペチュアル | 1931年発明:360度回転式ローターによる高効率な自動巻き機構。 |
| 3. デイトジャスト | 1945年発明:午前0時付近で瞬時に日付が切り替わるカレンダー機構。 |
もうお分かりですよね。今回紹介している「オイスターパーペチュアル」は、この偉大なる3大発明のうち、基礎中の基礎となる最初の2つをその名に冠したモデルなんです。
デイトジャスト、サブマリーナー、GMTマスター、デイトナ……。これら後に続くスターモデルたちは、すべてこの「オイスター」と「パーペチュアル」という土台の上に、カレンダーや回転ベゼル、クロノグラフといった機能を追加した「応用形」に過ぎません。
言ってみれば、オイスターパーペチュアルは、ロレックスというブランドの遺伝子そのもの。「機能を追加していない」のではなく、「余計なものを一切足していない純粋種(ピュア・ロレックス)」なのです。だからこそ、このモデルは決して「下位モデル」や「廉価版」ではなく、すべてのロレックスの「原点(オリジン)」として、プロの愛好家からも深い敬意を集めているんですね。
英語の意味から読み解く創業者の「完全性」への哲学
少し視点を変えて、創業者の精神的な部分、哲学に触れてみましょう。なぜウィルスドルフは、これほどまでに「密閉(オイスター)」と「自律(パーペチュアル)」にこだわったのでしょうか。
それは、時計を「外部環境の影響を受けない、完璧に独立した小宇宙」にしたかったからだと考えられます。
水、湿気、埃、汗、そして磁気。外界には精密機械を狂わせる敵がたくさんいます。そして、リューズを巻くという人間の不確実な操作もまた、時計にとってはリスク要因です。これらをすべて物理的に遮断(オイスター)し、エネルギーさえも着用者の動きから自給自足(パーペチュアル)する。
そうすることで、時計は誰の手も借りずに、手首の上で淡々と、しかし永遠に正確な時を刻み続ける存在になれるのです。
オイスターパーペチュアルという名前には、「いかなる過酷な環境でも(オイスター)、永続的に機能を果たし続ける(パーペチュアル)」という、道具としての完全性を追求したロレックスの狂気的なまでの執念が込められています。きらびやかな装飾や複雑な機能よりも、この「信頼性」こそがロレックスの真価であると、このモデルは無言で語りかけてくるようです。
現代のオイスターパーペチュアルが持つ意味と資産価値


歴史的な凄さは十分に分かりましたね。でも、皆さんが一番気になっているのは、「で、今のモデル(現行品)はどうなの?」という点ではないでしょうか。「やっぱりデイトナやサブマリーナーの方がいいんじゃないの?」「安いから機能もそれなりなんでしょ?」といった疑問に対し、現代の市場価値やスペックの視点から、忖度なしで徹底解説します。結論から言うと、今のオイスターパーペチュアルは、過去最高の完成度を誇っていると言っても過言ではありません。
「入門機」は誤解?上位モデルと同じムーブメントの実力
よく時計の掲示板やSNSなどで「オイスターパーペチュアルは入門機(エントリーモデル)だから、中身もそれなりなんでしょ?」という書き込みを見かけますが、これは現代においては完全に間違った認識です。
現行モデル(41mmのRef.124300や36mmのRef.126000など)に搭載されているムーブメントの型番をご存知でしょうか? 「Cal.3230」です。
実はこれ、ロレックスの代名詞とも言えるダイバーズウォッチの王様「サブマリーナー(ノンデイト)」や、冒険家の時計「エクスプローラー(40mm/36mm)」に搭載されているものと全く同じエンジンなんです。ネジ一本、歯車一枚に至るまで完全に同一の最新世代ムーブメントが採用されています。
- パワーリザーブ約70時間:以前のモデル(約48時間)から飛躍的に向上。金曜日の夜に時計を外しても、月曜日の朝まで止まらずに動いています。週末に時計を使わないビジネスマンにとって、これは最強の実用性です。
- 日差-2〜+2秒(高精度クロノメーター):スイス公認クロノメーター検定(COSC)の基準(-4〜+6秒)をさらに上回る、驚異的な精度を保証しています。
- 耐磁性能:独自の「ブルー パラクロム・ヘアスプリング」を採用し、スマートフォンやPCの磁気から時計の心臓部を守ります。
- 耐衝撃性能:「パラフレックス・ショック・アブソーバ」という独自の衝撃吸収装置により、スポーツ時の衝撃にも強くなっています。
つまり、ガワ(外装)のデザインや回転ベゼルといった機能の違いはあれど、時計としての基本性能、心臓部のスペックは100万円以上する上位モデルと完全に対等なのです。自動車で例えるなら、ポルシェ911と同じエンジンを積んだボクスターのようなもの。これを「コストパフォーマンスが良い」と言わずして何と言うでしょうか。
かつては旧世代のムーブメントが使われていた時代もありましたが、現行モデルにおいては「安かろう悪かろう」という妥協は一切存在しません。ロレックスは、最もベーシックなモデルにこそ、最新最高の技術を惜しみなく投入しているのです。
究極の引き算!デイトもベゼルもないシンプルな美学
オイスターパーペチュアルの最大の特徴であり、最大の魅力。それは日付表示(デイト)も、回転ベゼルも、クロノグラフのボタンもない、つるんとしたシンプルな顔立ちにあります。
多くの時計ブランドは、高機能さをアピールするために機能を「足し算」していきます。「カレンダーが付いて便利ですよ」「ストップウォッチも付いてますよ」と。しかし、オイスターパーペチュアルのアプローチは真逆です。「時刻を知る」という時計本来の目的以外を極限まで削ぎ落とした、究極の引き算の美学がそこにあります。
「デイトがないと不便じゃない?」と思うかもしれませんが、実際に使ってみると、デイトがないことで得られるメリットの方が意外と多いことに気づきます。
| メリット | 解説 |
|---|---|
| 1. 完璧なシンメトリー | デイトジャストにある「サイクロップレンズ(日付の拡大鏡)」がないため、文字盤の左右対称性が保たれ、デザインとしての均衡が完璧です。 |
| 2. 操作が楽 | 久しぶりに時計を着ける時、日付合わせの手間がありません。時刻を合わせるだけで即スタートできます。複数本時計を持つ人には特にありがたいポイントです。 |
| 3. TPOを選ばない | ダイバーズのようなゴツさやスポーティさが抑えられているため、冠婚葬祭のフォーマルな場から、Tシャツに短パンの休日まで、どんな服装にも違和感なく馴染みます。 |
「何もない」ことが、実は「何にでもなれる」という最強の強みになっているのです。流行に左右されない普遍的なデザインは、あなたが30代で買っても、60代、70代になっても飽きることなく使い続けられることを約束してくれます。



シンプルだからこそ、長く愛せるんですね!
36mmか41mmか?サイズ選びで変わる印象と装着感


購入を真剣に検討する際、最も悩ましいのが「サイズ選び」です。現行のオイスターパーペチュアルは、28mm、31mm、34mm、36mm、41mmという驚くほど多彩なサイズ展開を誇りますが、多くの男性が迷うのは「36mm」にするか「41mm」にするかの二択でしょう。
どちらが正解ということはありませんが、それぞれの特徴を知っておくと選びやすくなります。
【36mm】伝統と気品の「黄金比」
1950年代から続く、ロレックスの最も伝統的なサイズです。「メンズにしては小さいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、実際に着けてみると日本人の手首(平均16cm〜17cm前後)には驚くほどしっくりきます。シャツの袖口にもスムーズに収まり、悪目立ちしません。歴史的背景や「通」な雰囲気を重視するなら、間違いなく36mmがおすすめです。
【41mm】現代的な存在感とスポーティさ
近年のトレンドに合わせてサイズアップされたモデルです。存在感があり、Tシャツスタイルなどカジュアルな服装によく映えます。また、文字盤が広いため視認性が抜群です。体格が良い方や、時計をファッションのアクセントとして主張させたい方には41mmが適しています。
- サイズ選びのヒント:最近の時計業界のトレンドは「ダウンサイジング(小型化回帰)」にあります。数年前までは「デカ厚」が流行っていましたが、今は「小ぶりな時計をさらっと着ける」のがお洒落とされています。もし迷ったら、長く使える36mmを試着してみることを強くおすすめします。
ターコイズの高騰が示す「カラーダイヤル」の市場価値


かつてオイスターパーペチュアルといえば、シルバーやブラック、ブルーといった落ち着いた色の文字盤が主流で、正直に言えば「地味で堅実な時計」というイメージでした。しかし、2020年のモデルチェンジでその評価は一変しました。衝撃的な「カラーダイヤル」の登場です。
イエロー、コーラルレッド、グリーン、キャンディピンク、そして最も話題となったターコイズブルー。これら1970年代の「ステラダイヤル」を彷彿とさせるポップな配色は、世界中のファッショニスタやコレクターを熱狂させました。
特に「ターコイズブルー」は、有名ジュエリーブランドの色を連想させることから「ティファニーブルー」と呼ばれ、一時期は定価の5倍〜6倍以上という異常なプレミア価格で取引されました。また、2023年に登場したカラフルな水玉模様の「セレブレーションモチーフ」も、入手困難を極めています。
- 資産価値についての注意点:カラーダイヤルは生産終了(ディスコン)になると価格が急騰する傾向がありますが、流行り廃りも激しいです。「資産価値が上がりそうだから」という理由だけで奇抜な色を選ぶのはリスクもあります。長く愛用するなら、飽きのこないシルバー(サンレイ仕上げが美しい!)やブラック、ブライトブルーを選ぶのも賢い選択です。これらも現在では定価以上の価値を維持しています。
いずれにせよ、このブームは「オイスターパーペチュアル=地味な入門機」という常識を完全に破壊し、ロレックスの中でも特にホットな「ファッションアイコン」としての地位を確立した歴史的転換点でした。
正規店で買えない?現在の入手難易度と購入のコツ
ここまで読んで「欲しい!」と思った方も多いでしょう。しかし、現実は甘くありません。現在、オイスターパーペチュアルを正規店で購入するのは、デイトナやサブマリーナーと同様に非常に困難です。
「一番安いモデルだから売れ残ってるだろう」と思ってお店に行っても、ショーケースは空っぽ、あるいは展示専用品しか置いていないことがほとんどです。特に41mmや36mmの人気カラーは、入荷しても即座に売れてしまいます。
購入するためには、いわゆる「ロレックスマラソン(正規店巡り)」が必要になることも覚悟しなければなりません。
- 熱意を伝える:「何色でもいいから転売用に欲しい」という態度は禁物です。「なぜオイスターパーペチュアルなのか」「その歴史的背景にどう惹かれたのか」を店員さんに熱く、かつ丁寧に伝えてみてください。この記事で得た知識がきっと役に立つはずです。
- サイズや色の許容範囲を広げる:「ターコイズの41mm一択!」だと難易度はSS級ですが、「シルバーか黒の36mmでも検討しています」と伝えれば、提案してもらえる確率はグッと上がります。
- 服装とマナー:ロレックスは「長く使ってくれる人」に売りたいと考えています。清潔感のある服装と、店員さんへのリスペクトある態度は基本中の基本です。
ネット上の並行輸入品ならすぐに手に入りますが、定価(約80万円〜90万円前後)に対して、人気モデルは120万円〜150万円、希少カラーならそれ以上のプライスが付いています。「時間をお金で買う」か、「正規店での出会いを待つ」か。それはあなたの価値観次第です。
総括:オイスターパーペチュアルを買う意味と得られる未来
ここまで、オイスターパーペチュアルの深い意味と歴史、そして現代における価値について解説してきました。もうお分かりですね。この時計は単なる「安価なロレックス」ではありません。
それは、ロレックスの魂である「オイスター(堅牢性)」と「パーペチュアル(恒久性)」を最も純粋な形で具現化した、ブランドの原点にして頂点とも言える傑作です。余計なものを一切足さない潔さは、所有者の自信と知性を静かに物語ってくれます。



最後に、今回の記事内容のポイントをまとめます。
- 「オイスター」は完全防水ケース、「パーペチュアル」は自動巻きを意味する創業者の哲学
- ロレックスの3大発明の基礎となる2つを搭載しており、すべてのスポーツモデルの原点である
- ドーバー海峡横断泳で実証された、歴史的背景を持つ「本物のツールウォッチ」である
- 現行モデルの中身(Cal.3230)はサブマリーナーと同等で、スペックに一切の手抜きなし
- デイトなしのシンメトリーなデザインは、実用性と美しさを兼ね備えた究極の引き算
- 2020年以降のカラーダイヤル展開により、資産価値とファッション性が急上昇した
- サイズは伝統の36mmか、現代的な41mmか、自分のスタイルに合わせて選べる
- 単なる入門機ではなく、ブランドの歴史と技術を深く理解した「通」こそが選ぶ時計である
今回は、オイスターパーペチュアルの意味と歴史的価値について解説しました。
「牡蠣」のような堅牢なケースと、「永遠」に動き続ける自動巻き機構。一見シンプルに見えるこのモデルには、ロレックスが創業以来追い求めてきた「完璧な時計」への哲学が凝縮されていることを、よく理解いただけたのではないでしょうか。
もし、オイスターパーペチュアルに日付機能やもう少しの華やかさを加えたいと感じた方は、兄弟モデルとも言えるデイトジャストの記事も参考になるでしょう。







