ジャガー・ルクルトのリセールは低い？資産価値を守る3つの鉄則

こんにちは！時計好きにとっての「上がり時計」とも言われるジャガー・ルクルトですが、いざ購入を検討すると、昨今の容赦ない価格改定による定価の高騰や、将来手放すときの買取価格がどうなるかは、本当に切実な問題ですよね。「欲しいけど、買った瞬間に価値が半減したらどうしよう…」と不安になるのは、決しておかしなことではありません。ロレックスのように買った瞬間から得をするような魔法のような資産価値があるのか、それとも中古市場では厳しい現実が待っているのか、慎重になるのは当然かなと思います。

特に2025年という現在は、時計バブルの落ち着きとインフレの進行が入り混じった複雑な時期です。この記事では、最新の相場動向やモデルごとのリセールバリューの違い、そして損をせずに賢くこの「技術屋の傑作」を手に入れるための具体的な方法について、ペルソナである私自身の視点も交えつつ、徹底的に分かりやすく解説しますね。

「ここ、気になりますよね。」というポイントもしっかり押さえていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

結論から先に言ってしまうと、ジャガー・ルクルトは投機的な短期転売で利益を出すのは非常に難しいブランドですが、モデル選びと買い方を少し工夫するだけで、資産価値を驚くほど強固に守れる素晴らしい時計ですよ。

ジャガー・ルクルトのリセール事情と資産価値の真実

多くの人が抱いているリセールバリューへの疑問や、なぜ定価と中古相場にこれほどまでの差が生まれるのかという市場の構造について、深掘りして解説していきます。単なる噂話ではなく、実際の市場の動きに基づいたリアルな情報をお届けします。

定価高騰で広がる？新品価格と中古相場の乖離

ここ数年、ジャガー・ルクルトを含む高級時計ブランド全体で、我々ファンの想像を絶するようなペースで価格改定（値上げ）が続いていますよね。「また上がるの？これじゃあいつまで経っても買えないよ…」と溜息をついた方も多いのではないでしょうか。

原材料費（特にゴールドなどの貴金属）の高騰、熟練職人の人件費上昇、輸送コストの増加、そして何より円安の影響など、値上げの理由は枚挙にいとまがありません。さらに、ジャガー・ルクルトが属するリシュモングループ自体が、ブランドのポジショニングをより上位（ハイエンド・ラグジュアリー）へ移行させようとしている戦略も背景にあります。

しかし、ここで非常に重要なのが、「定価が上がったからといって、中古市場での買取価格も即座に同じ割合で上がるわけではない」という残酷な事実です。

例えば、以前であれば定価100万円で買取60万円（換金率60%）だったモデルが、定価改定で140万円になったとします。しかし、中古市場での人気が急上昇したわけではないため、買取価格は65万円程度にしか上がらない、といった現象が起きています。この場合、換金率は46%程度まで低下し、差額（含み損）は40万円から75万円へと拡大してしまいます。

これは、「正規店で新品を買った瞬間に、資産価値の半分近くを失う」ということを意味します。もちろん、時計は楽しむものであり、金融商品ではありませんが、金額の桁が大きいだけに、この「初期減価償却」の大きさは無視できないリスクかなと思います。

ロレックスと比較してリセールバリューが劣る理由

「資産価値」や「リセール」というキーワードで検索すると、どうしても比較対象としてロレックスの名前が挙がってきますよね。ロレックスの場合、正規店で購入してそのまま買取店に持ち込めば、購入価格を上回る利益が出る「プレ値（プレミアム価格）」のモデルが多数存在します。それに比べると、ジャガー・ルクルトのリセールバリューは、数字上どうしても見劣りしてしまうのが正直なところです。

なぜ、これほどまでに資産価値（リセール率）に差が出るのでしょうか。その理由は、ブランドの優劣ではなく、市場構造の違いにあります。

比較項目	ロレックス（Rolex）	ジャガー・ルクルト（JLC）
需給バランス	世界的な需要過多。供給を絞っているため常に枯渇。	需要と供給が比較的均衡。一部モデルを除き正規店で購入可能。
購入目的	実用＋投機・投資目的の購入者が非常に多い。	純粋な時計愛好家や実用目的の購入がメイン。
デザイン傾向	堅牢なスポーツモデルが中心。	繊細でエレガントなドレスウォッチが主力。

まず、需要と供給のバランスが決定的に異なります。ロレックスは「欲しくても売っていない」状況が常態化しており、これが二次流通価格を押し上げています。一方、ジャガー・ルクルトは、人気モデルであっても比較的正規店で入手しやすく、市場に一定の在庫が存在します。希少性が「異常なレベル」ではないため、中古品に定価以上のプレミアがつきにくいのです。

また、実用時計か投機対象かという点も大きいです。ジャガー・ルクルトは「時計通が愛用するための時計」であり、転売目的で群がる人が少ないブランドです。投機マネーが流入しにくいため、バブル的な価格高騰が起きにくい側面があります。

でも、これは逆に言えば「本当に時計が好きな人が、プレ値や転売屋に邪魔されず、適正な価格で楽しめる健全な市場」とも言えるんですよね。資産価値の数字だけを見ると負けているように見えますが、本来の時計の買い方としては、こちらのほうが正常なのかもしれません。

モデル格差！レベルソの強さとマスターの現状

ジャガー・ルクルトについて語る上で絶対に避けて通れないのが、「モデルによるリセールバリューの格差」です。「ジャガー・ルクルトのリセールは◯◯％だ」と一括りにするのは非常に危険で、モデルによって天と地ほどの差があることは、購入前に絶対に知っておくべき事実ですよ。

【勝ち組】不朽のアイコン「レベルソ」

まず、ブランドの顔であり、反転ケースが特徴の「レベルソ（Reverso）」。これは資産価値という面でも非常に強いです。特に以下のモデルは、市場での需要が常に高く、高値安定傾向にあります。

これらは、状態が良ければ定価の60%〜70%以上、限定モデルなら定価以上で取引されることも珍しくありません。レベルソは「角型時計の金字塔」としての地位が揺るぎなく、流行り廃りがないため、10年後も価値が残る可能性が高いモデル筆頭です。

【苦戦】正統派ドレス「マスター」シリーズ

一方で、リセール面で苦戦を強いられているのが「マスター・コントロール」や「マスター・ウルトラスリム」といったラウンド型の正統派ドレスウォッチです。

その結果、中古市場では「定価割れ」が常態化しています。新品で購入した場合、売却時には定価の40〜50%程度、場合によってはそれ以下になってしまうケースも覚悟が必要です。「一生使う」なら最高の相棒ですが、「数年で買い替えるかも」という場合は、新品購入での損失リスクが最も高いカテゴリーと言えるかもしれません。

ポラリスや限定モデルの買取価格はどう動く？

2018年に復活を果たしたスポーツコレクション「ポラリス（Polaris）」はどうでしょうか。「ジャガー・ルクルトのスポーツモデルならリセールも高いのでは？」と期待する方もいるかもしれません。

結論から言うと、ポラリスは「色とモデルによる二極化」が激しく進んでいます。

特に評価が高いのが、トレンドカラーを採用したモデルです。代表的なのは「ポラリス・デイト」のグリーンダイヤルです。このモデルは発売直後から注目を集め、一時は定価を超えるプレミア価格がついたこともありました。現在でも高水準を維持しており、ジャガー・ルクルトにも「ハイプ（熱狂）」を生み出す力があることを証明しました。

しかし、ベーシックな黒文字盤や、ノンデイトのシンプルなモデルなどは、そこまでの過熱感はありません。ロレックスのサブマリーナーやオメガのシーマスターといった強力なライバルが存在する価格帯であるため、中古市場での引き合いは「そこそこ」に留まります。買取価格も定価の50%前後で落ち着くことが多いです。

「ポラリスなら何でも高い」わけではないので、もしリセールを意識して選ぶなら、市場で人気のある特定のカラーや、生産数が限られたモデル（メモボックスなど）をリサーチすることが大切ですよ。

2025年以降の値上げが換金率に与える影響

さて、気になるのは今後の動きです。2025年以降も、世界的なインフレ基調やスイスフラン高を背景に、高級時計の定価上昇トレンドは続くと予想されます。これによって、我々が持っている、あるいはこれから買う時計の換金率（リセールバリュー）はどう動くのでしょうか。

短期的には、定価が上がれば中古相場も「つられて」少しずつ上がっていくのがセオリーです。これは、新品が高すぎて手が出せなくなった層が、「それなら状態の良い中古でいいか」と中古市場（Used）や未使用品に流れてくるためです。需要が増えれば、当然中古価格も底上げされます。

つまり、今持っているジャガー・ルクルトの価値も、長期的には守られる可能性が高いということです。実際に、数年前に購入したレベルソなどは、当時の定価と比較すれば、現在の中古買取価格のほうが高い（買値より高く売れる）という逆転現象も一部で起きています。

ただし、先ほどもお伝えした通り、定価の上昇スピードのほうが圧倒的に早いため、今この瞬間に新品を買った場合の「購入価格に対する換金率（＝買取価格÷今の定価）」という数字だけ見ると、一時的に下がったように見えるかもしれません。

しかし、現金（特に日本円）の価値が目減りしていくインフレの時代において、世界的に価値が認められ、定期的に価格改定が行われる「現物資産」として時計を持っておくことは、資産防衛の観点からは非常に理にかなっているかなと思います。銀行に日本円を預けたままにするよりも、腕元で楽しみながら価値を保存できるジャガー・ルクルトは、魅力的な選択肢ではないでしょうか。

ジャガー・ルクルトの資産価値を守る購入と売却のコツ

 少し厳しい現実も含めてリセール事情をお話ししてきましたが、ここからは前向きな話をしましょう。ジャガー・ルクルトは、買い方と売り方のポイントさえ押さえれば、決して「損をするだけの時計」ではありません。

むしろ、その価値の安定性と製品としての寿命の長さを考えれば、非常にコストパフォーマンスの高い資産になり得ます。ここでは、実際に私が友人に相談されたらアドバイスする内容と同じ、「経済的損失を最小限に抑え、賢く楽しむための3つの鉄則」と、売却時に少しでも高く評価してもらうための秘訣を伝授します。

鉄則①：資産性の高い人気モデルを狙う

もしあなたが、「デザインが気に入ったから買う」だけでなく、「将来的な売却額（出口戦略）も少しは気にしたい」と考えるなら、選ぶべきモデルは非常に明確です。ズバリ、「レベルソ・トリビュート」シリーズ、その中でも「モノフェイス（片面）」のカラーモデルや、「デュオフェイス」の人気サイズを狙うのが鉄則です。

逆に、避けたほうが無難なのが、非常に高額な「ハイコンプリケーション（超複雑時計）」です。トゥールビヨンやパーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーターといった機構は、時計技術の頂点であり芸術品ですが、資産として見ると「流動性」が極めて低いです。

定価は数百万〜数千万円しますが、それを中古で買い取れる業者は限られますし、次に買ってくれる個人ユーザーも世界にほんの一握りしかいません。そのため、売却時の「値落ち幅（金額ベース）」は強烈で、数百万円単位の損失が出ることも珍しくありません。「資産価値を守る」という意味では、複雑すぎるモデルよりも、需要が安定している「3針」や「デュオ」などの定番人気モデルを選ぶのが、最も安全な道ですよ。

鉄則②：損を回避！中古や未使用品という賢い選択

ジャガー・ルクルトを購入する際、経済的損失を出さないための最強かつ最も合理的な方法。それは、正規新品にこだわらず、「良質な中古品」や「未使用品」を狙うことです。

先ほどお話しした通り、マスターシリーズなどは新品定価と中古相場の差（スプレッド）が大きいです。これは裏を返せば、「中古市場なら、定価の半額近くで買える極上個体がゴロゴロしている」ということでもあります。

例えば、定価150万円のモデルが、中古市場で90万円で売られているとします。この90万円の個体を購入した場合、あなたが次に売るときの買取価格が70万円だったとしても、損失は「20万円」で済みます。しかし、新品を150万円で買っていたら、損失は「80万円」です。この差は圧倒的ですよね。

特に狙い目なのが、前のオーナーが購入してから日が浅く、メーカー保証がたっぷり残っている個体です。ブティックでのシャンパンやホスピタリティといった「購入体験」そのものに強いこだわりがないのであれば、この選択肢は非常に賢い戦略と言えるでしょう。

鉄則③：箱や保証書は必須！高く売るための保管術

将来手放すとき、1円でも高く売りたいなら「付属品の完備」は絶対条件です。本体の状態が良いのは当然として、付属品があるかないかで、査定額に驚くほどの差がつきます。

特に重要なのが「国際保証書（ギャランティカード）」です。箱や説明書は、最悪の場合あとからネットオークションなどで買い直すこともできますが、その時計のシリアルナンバーが記載された保証書だけは、世界に一つしかなく、再発行も不可能です。

付属品名	重要度	査定への影響・備考
国際保証書 （ギャランティ）	★★★★★ （最重要）	これがないだけで、モデルによっては5万円〜10万円以上減額されることも。真正性の証明書でもあります。
純正ボックス （内外箱）	★★★☆☆	次の買い手への印象を良くします。欠品の場合、数千円〜2万円程度の減額対象となることが多いです。
余りコマ （ブレスの場合）	★★★★☆	金属ブレスレットモデルの場合、コマが足りないと腕の太い人が着けられないため、販売機会を失います。非常に重要です。
ピンバックル （ピン・工具）	★★★☆☆	カレンダー調整用のピンなど、地味ですが無くしやすいので注意。

また、ジャガー・ルクルトには、購入後にオンラインで登録することで、国際保証期間を通常の2年から最大8年に延長できる「ケアプログラム（Jaeger-LeCoultre Care Program）」が存在します。

この登録を済ませておくことは、資産価値維持のために必須です。「メーカー保証がまだ◯年も残っている」という事実は、次の中古購入者にとって絶大な安心材料となり、それがそのまま買取査定額のアップ（強気な買取）に繋がります。購入したら、その日のうちに登録を済ませてしまいましょう。

並行差別はある？メンテナンスと売却への影響

「少し安い並行輸入店で買いたいけど、メーカー修理を断られたり、修理代が高くなったりするのでは？」という心配をお持ちの方もいるかもしれません。いわゆる「並行差別」と呼ばれる問題ですが、結論から言うと、ジャガー・ルクルト（およびリシュモングループ全体）には、並行差別は一切ありません。

正規ブティックで定価で買おうが、家電量販店や並行輸入店で安く買おうが、中古で買おうが、その時計が「本物（真正品）」である限り、メーカーでのオーバーホールや修理の受付、料金、対応内容は全く同じです。

これは資産価値にとっても非常に大きなプラス材料です。なぜなら、「並行品だから」「保証書の店名スタンプが海外の店だから」という理由で、売るときに安く買い叩かれるという理不尽が起きにくいからです。物は同じなので、状態さえ良ければ対等に評価されます。

ですので、予算を抑えて賢く買いたい方は、安心して価格メリットのある並行輸入品や中古品を検討リストに入れて大丈夫ですよ。

マニュファクチュールの寿命と一生モノの価値

最後に、数字や金額だけでは測れない「本質的な価値」について触れておきたいと思います。

ジャガー・ルクルトは、ネジ一本からムーブメントの設計・製造までを一貫して行う、スイスでも稀有な「真のマニュファクチュール」です。彼らの作る時計は、適切なメンテナンス（定期的なオーバーホール）さえ続けていれば、30年、50年、あるいは親から子へ、子から孫へと受け継ぐことができる耐久性を持っています。

仮にリセールバリューが50%だったとしても、もしあなたがその時計を30年間使い続けたとしたらどうでしょうか。日割り計算したコストは、驚くほど安いものになります。例えば100万円の損が出たとしても、30年（約10,950日）で割れば、1日あたり約90円です。たったこれだけのコストで、世界最高峰の時計と共に人生を歩めるのです。

「売ったらいくらになるか」という出口戦略ももちろん大切ですが、「どれだけ長く愛せるか」「どれだけ豊かな時間を刻めるか」という時間軸での資産価値こそが、ジャガー・ルクルトを持つ最大の喜びではないでしょうか。

使い捨ての製品があふれる現代において、直して使い続けられる道具を持つこと自体が、何よりの贅沢であり、心の豊かさなのかもしれませんね。

総括：ジャガー・ルクルトを資産として愛でる

ジャガー・ルクルトの資産価値について、厳しい現実から賢い対策まで、様々な角度から解説してきました。

最後に、今回の記事内容のポイントをまとめます。

• ジャガー・ルクルトは投機的ブランドではなく実用時計
• 定価高騰により新品購入直後の「含み損」は拡大傾向にある
• リセールバリュー重視なら「レベルソ・トリビュート」が最強候補
• マスター系などのドレスウォッチは中古市場での値落ちが大きい
• ポラリスはグリーンなどの人気色が高評価、通常色は落ち着いている
• 新品よりも「中古美品」や「未使用品」を選ぶのが資産防衛の近道
• 並行差別がないため、並行品や中古品も安心してメンテナンス可能
• 付属品、特に「国際保証書」の有無はリセール額に数万円の影響が出る
• 購入後は「ケアプログラム」への登録で保証期間を8年に延長すべき
• 複雑機構モデルは売却時の買い手が少なく、値落ち幅が大きい
• 円安の影響で国内相場は底堅いが、定価上昇には追いついていない
• 短期転売で儲けることは難しいが、長期保有で真価を発揮する
• リセール率という数字だけに囚われず、時計としての完成度を楽しむべき
• 真のマニュファクチュールとしての信頼性は、100年先も揺るがない
• 長く大切に使うことこそが、結果として最大の資産防衛になる

今回は、ジャガー・ルクルトの資産価値とリセールの実情について解説しました。「買ってすぐに儲かる」という魔法のような時計ではありませんが、モデル選びと買い方を工夫することで、経済的な損失リスクを最小限に抑えつつ、世界最高峰の時計を楽しむことができるとご理解いただけたのではないでしょうか。

もし、この記事を読んで「やっぱりレベルソが欲しい！」と強く思われた方は、具体的なモデル選びの参考に、レベルソの種類やサイズ感を徹底比較した記事もぜひご覧ください。

また、他のブランドの資産価値とも比較してみたいという方には、ロレックスやオメガのリセール事情をまとめた記事もおすすめです。