ロレックスやオメガなら誰でも知っている。でも、ふと「派手なロゴで主張しない、本当に分かる人だけが選ぶ国産の最高峰はないのか」と感じたことはありませんか。あるいは、ドラマで綾瀬はるかさんが着けていた上品な時計や、元首相が30年以上も大切にしている一本が気になって、ここにたどり着いたのかもしれません。
その答えのひとつが、セイコーが世界に誇る最高峰メゾン「クレドール(Credor)」です。知名度こそ控えめですが、国内の政治家や女優から、海外の投資家・世界的コレクター・時計評論家まで、目利きと呼ばれる人々が静かに、しかし熱烈に愛用しています。
では、具体的に誰がどのモデルを選び、なぜ「知る人ぞ知る名品」が彼らの心をつかむのか。本記事で、その人物像とブランドの本質を一緒に旅していきましょう。
- クレドールを愛用する国内外の有名人10名と、それぞれの着用モデル
- 菅義偉氏のシグノ、綾瀬はるかさんのリネアルクスなど話題のモデルの背景
- 海外の投資家・コレクター・評論家までもが叡智IIに惚れ込む理由
- 知名度が高くないクレドールが、なぜ目利きに選ばれ続けるのか
クレドールを愛用する有名人・著名人たち

| 有名人 | 肩書き | 着用モデル | 契機・特徴 |
|---|---|---|---|
| 菅義偉 | 元内閣総理大臣 | シグノ | 師から贈られ30年以上愛用 |
| 綾瀬はるか | 女優 | リネアルクス GSAS927 | ドラマ『天国と地獄』で着用 |
| コージ・アトウッド | ピアニスト | 螺鈿文字盤 GCBE993 | 漆芸の美に共鳴 |
| 高橋璃央 | 俳優・モデル | リネアルクス | wacci『一粒』MVで着用 |
| ケビン・オラリー | 投資家(Mr.Wonderful) | 叡智II | セイコー本社訪問時に購入 |
| マット・ヤコブソン | Meta役員・コレクター | 叡智II(ローズゴールド) | 米国で最初期に入手 |
| ザック・ブラス | 時計評論家 | 和光限定 叡智II | オークションで落札・アガリの時計 |
| エヴリン・ジェンタ | ジェラルド・ジェンタ夫人 | ロコモティブ(復刻) | 夫の遺産を継承 |
菅義偉が30年以上愛用する「シグノ」|贈与の物語
クレドールを愛用する有名人として真っ先に挙がるのが、元内閣総理大臣の菅義偉氏です。氏が長年身につけているのは、クレドールの「シグノ(Signo)」シリーズのヴィンテージモデルだと紹介されています。過度な装飾を排したシンプルな3針に、精緻なコンビブレスレットを合わせた、きわめて控えめで上品な一本です。
この時計には、単なる高級品では語れない物語があります。菅氏が1987年に横浜市議会議員へ初当選した際、師である小此木彦三郎議員から記念品として贈られたものだと言われています。流行のスポーツウォッチや派手な海外ブランドに目を向けることなく、贈られた一本を30年以上も大切に使い続ける——その姿勢こそ、本サイトが掲げる「生涯の伴侶」という価値観そのものです。
EMIRI政治家の方が、国産のしかも控えめな時計をずっと使っているって意外です。



そこがクレドールらしさなんですよ。ロゴで主張するのではなく、贈ってくれた人との縁や、自分の生き方を時計に語らせる。華美を避けた「抑制された美意識」が、菅氏の堅実な人柄と見事に重なっているんです。
シグノは比較的求めやすい価格帯から存在するラインで、クレドールの世界への入り口としても知られています。なお、菅氏が着用したとされる具体的なリファレンスは公式に特定されていないため、ここではシリーズ全体の特徴としてご紹介しています。気負わず日常に寄り添う一本でありながら、確かな職人技に裏打ちされている点が、長く愛される理由といえるでしょう。クレドールの入門として、まずこのシグノの存在を覚えておくと、ブランドの幅広さが見えてきます。
詳しいブランドの歩みはクレドール公式サイトでも確認できます。
綾瀬はるかとドラマ『天国と地獄』の「リネアルクス GSAS927」


女優の綾瀬はるかさんは、TBSのドラマ『天国と地獄 〜サイコな2人〜』の劇中で、クレドールの「リネアルクス(Linealux)GSAS927」を着用したと紹介されています。水の一滴が生み出す柔らかな波紋をモチーフにした、流れるような曲線美が特徴のレディースモデルです。
このモデルの魅力は、見た目の優美さだけではありません。文字盤にはローマンインデックスとブルーの針が採用され、リューズの中央にもブルーのストーンをあしらった上品な仕上がり。27mmという小ぶりなケースのベゼルには24個(合計0.17カラット)のダイヤモンドがセッティングされ、さりげない華やかさを演出します。さらに、クレドールのレディースとして初めて、ユーザー自身でベルトを簡単に付け替えられる「簡易着脱レバー式バンド」を採用。グレーとパールホワイトのクロコダイルバンドが付属し、シーンに合わせて表情を変えられます。ベルトを替えることで印象が一変するこの仕様が、ドラマの「入れ替わり」というテーマと密かにリンクしていた、とも解釈されています。



あのドラマの時計、どこのブランドだろうってずっと気になっていました。



凛とした強さと上品さを併せ持つ役柄に、水の曲線美を宿したリネアルクスがぴたりとはまっていましたよね。年差±10秒の高精度クオーツで実用性も高く、まさにアクセサリー感覚で楽しめる一本です。
ドレスウォッチを日常に取り入れたい方は、こうした上品な一本をどう着けこなすかも気になるところでしょう。普段の装いにどう馴染ませるかを知っておくと、リネアルクスのような繊細なモデルも一気に身近になります。
あわせて読みたい:リネアルクスのようなドレスウォッチを普段使いする条件
GSAS927の参考価格は約704,000円(執筆時点・2026年6月時点の参考値)です。為替・市況や在庫状況により変動するため、購入の判断は最新情報をご確認のうえ行ってください。
文化人・若手も惹かれる|コージ・アトウッドと高橋璃央・髙橋龍一
クレドールは、政治家や女優だけでなく、感性を生業とする文化人や若い世代にも支持されています。ここでは3名をまとめて紹介しましょう。いずれも「派手さ」ではなく「造形そのものの美しさ」に惹かれている点が共通しています。
まず、ピアニストのコージ・アトウッド氏。氏が愛用しているのは、螺鈿(らでん)文字盤が美しいクレドールの「Ref.GCBE993」だと紹介されています。漆塗りにマザーオブパール(螺鈿)を象嵌した、星空のように繊細なデザインで、手描きのインデックスが添えられた芸術品。音楽という芸術に生きる氏の感性と、見事に調和した選択といえます。次に、俳優・モデルの高橋璃央さんは、バンド「wacci」の楽曲『一粒』のミュージックビデオでリネアルクスを着用したと伝えられており、若い世代にもクレドールの普遍的な美しさが届いている一例です。



芸術家の方が選ぶ時計って、やっぱり理由が深そうですね。



そうなんです。たとえば70本もの時計を所有する大学生コレクターの髙橋龍一さんは、クレドールについて「シームレスなデザインが好き」と語り、光に当ててその造形にじっくり浸る時間を楽しんでいるそうですよ。
ロゴや知名度ではなく、漆芸・螺鈿といった日本の伝統工芸の美しさに価値を見いだす。これこそ本サイトの「匠の美学」という柱に通じる、クレドールならではの選ばれ方です。世代や職業を問わず、本物の造形に反応する人ほど深く惹き込まれる——文化人や若手の愛用は、そのことを静かに物語っています。彼らが共通して口にするのは、流行ではなく「ずっと眺めていたくなる美しさ」。これは数字のスペックでは測れない、所有してこそ分かる価値だといえるでしょう。
ケビン・オラリーが本社で選んだ「叡智II」


ここからは海外に目を向けましょう。クレドールの実力を象徴するのが、世界的な目利きたちが最高峰モデル「叡智II(Eichi II)」を選んでいる事実です。その一人が、投資家でテレビ番組『シャーク・タンク』の「Mr. Wonderful」としても知られるケビン・オラリー氏です。
オラリー氏は、ハンドペイントの磁器文字盤と見事な仕上げを持つ叡智IIを、自身のコレクションに加えていると紹介されています。注目したいのは、その購入が日本のセイコー本社を訪れた際の出来事だったという点。世界中の高級時計を知り尽くした実業家が、わざわざ日本で一本を選び、それを「思い出深い体験だった」と語る——この事実は、クレドールが単なる国産時計ではなく、国境を越えて審美眼を持つ人々を惹きつける存在であることを物語っています。



海外の有名な投資家まで、日本の時計をわざわざ買いに来るんですか。



ええ。叡智IIは「これ以上はない」と思わせる完成度なんです。派手な装飾で勝負するのではなく、引き算の美と職人技で勝負する。だからこそ、本物を見抜く目を持つ人ほど深くハマるんですよ。
叡智IIがなぜここまで評価されるのか、その具体的な中身は記事後半で詳しく解説します。まずは「世界の目利きが選ぶ一本」であることを覚えておいてください。投資家として価値の本質を見極める仕事をしてきた人物が、資産性だけでなく「手仕事の美しさ」に価値を見いだした——この選択そのものが、クレドールという存在の格を雄弁に語っています。彼のような人物の愛用例は、これからクレドールを知る私たちにとって何よりの道しるべになるはずです。
Meta役員マット・ヤコブソンが愛したローズゴールド「叡智II」
叡智IIに魅了された海外の著名人は、オラリー氏だけではありません。Facebook(現Meta)の役員であり、世界屈指の時計コレクターとして知られるマット・ヤコブソン氏も、その愛用者だと紹介されています。
ヤコブソン氏は、米国でローズゴールド製の叡智IIを手に入れた最初期の一人とされています。世界中の名だたる名品を見てきたコレクターが、数あるブランドの中からクレドールを選び、しかも「日本の時計づくりの視点」や「手作業による卓越した仕上げ」に魅了されてコレクションに加えた——この事実は重い意味を持ちます。なぜなら、スイスの伝統的な高級ブランドを知り尽くした人物が、あえてスイスとは異なる価値観に惹かれたことを示しているからです。



世界中の時計を持っている人が、それでもクレドールを欲しがる理由は何でしょう。



スイスの名品とは違う「日本独自のミニマリズムと手仕事の極致」への敬意だと思います。ブランド名で誇示せず、実行の美しさと節度を重んじる。そこに、本物のコレクターほど価値を感じるんです。
ローズゴールドの叡智IIは、プラチナモデルの禁欲的な雰囲気とは対照的に、温かみのある親しみやすい表情を持つことでも知られています。素材ひとつで人格が変わるような奥行きも、コレクターを飽きさせない魅力といえるでしょう。同じ叡智IIでも、プラチナを「冬の冷涼さ」、ローズゴールドを「夏の午後の光」にたとえる声があるほど、纏う空気がまるで違います。複数の素材で展開される一本を「どれも欲しい」と思わせる磁力こそ、世界の目利きを夢中にさせる理由なのです。
時計評論家ザック・ブラスの「アガリの時計」|和光限定叡智II
クレドールの評価を語るうえで外せないのが、時計メディア「Time+Tide Watches」のUSエディター、ザック・ブラス氏のエピソードです。氏は数々の高級時計を見てきたジャーナリストでありながら、叡智IIを自身の「アガリの時計(exit watch)」に設定していたと紹介されています。
そしてついに、オークションで銀座・和光限定の特別なプラチナ製叡智II(文字盤の12時と6時がローマ数字のモデル)を、手数料込み34,100米ドルで落札。その数カ月前には同じモデルが約52,000米ドルで落札されていたため、彼にとっては幸運な取引でもありました。氏はこの一本を手に入れるために、自身が所有するA.ランゲ&ゾーネ(A. Lange & Söhne)の名作を手放す予定だとまで語ったといいます。



「アガリの時計」って、どういう意味なんですか。



時計収集の終着点のことです。「これさえあれば、もう他の時計はいらない」と思える究極の一本。世界の名品を知る評論家が、ランゲを手放してでもクレドールを選ぶ。これ以上の賛辞はないですよね。
買えるかどうか、見る機会があるかどうかさえ難しい叡智II。とはいえ、クレドールには手の届く価格帯のモデルや状態の良い中古の個体も存在します。プロの評論家が「最後の一本」と断言するほどのブランドだからこそ、まずはどんなモデルが市場に出ているのかを眺めてみるのも楽しいものです。憧れを具体的な一本へと近づける第一歩として、現行・中古のラインナップをチェックしてみてください。
ジェンタ夫人エヴリンと評論家が選ぶ「ロコモティブ」「クマカワ」
最後は、クレドールの歴史そのものと結びついた著名人を2名紹介します。一人は、20世紀を代表する天才時計デザイナー、故ジェラルド・ジェンタ氏の妻でありビジネスパートナーのエヴリン・ジェンタ氏です。
ジェンタ氏が1979年にクレドールのためにデザインした「ロコモティブ(Locomotive)」。その復刻版が2024年に登場した際、エヴリン氏も協力し、自身も新しい高強度チタン製のロコモティブを着用していると紹介されています。氏はこの時計を身につけると、夫がデザインした1980年代当時の力強い躍動感や「楽観主義」を感じると語り、夫の遺産が完璧なプロポーションで現代に蘇ったことを高く評価しているそうです。もう一人は、時計メディア「Quill & Pad」のライター、クエンティン・R・ブフォーグル氏。自他ともに認める「スイス時計の熱狂的ファン」でありながら、日本の世界的バレエダンサー熊川哲也氏を称えて作られた「クマカワ ワールドタイマー」を愛用していると紹介されています。



デザイナーのご家族まで、復刻版を実際に着けているんですね。



ジェンタ氏にとって日本やセイコーは特別な存在でした。その物語が「メゾンの遺産」として現代に受け継がれているんです。クマカワはフェニックスコレクション系の一本で、叡智IIとは別系統ですが、こちらも玄人を唸らせる名作ですよ。
人物とモデルの関係を整理すると、クレドールが「政界・芸能・海外コレクター・評論家・デザイナー周辺」という幅広い層に支持されていることが見えてきます。単なる流行ではなく、時計の歴史を動かしてきた人々が自らの物語を託す——それがクレドールという存在の懐の深さです。デザイナーの遺族が復刻を着け、スイス偏愛の評論家までが日本の限定品を選ぶ。こうした事実の積み重ねが、ブランドの格を静かに証明しているのです。
なぜ目利きはクレドールを選ぶのか|知る人ぞ知る名品の理由


「知名度が低い」と言われる理由と、それが逆に価値になる訳
クレドールは高級時計でありながら「知名度が低い」「人気がない」と語られることがあります。結論から言えば、これはブランドの欠点ではなく、むしろ目利きに選ばれる理由そのものです。理由を冷静に分解してみましょう。
第一に、クレドールは大規模な広告やブランドロゴの主張をほとんど行いません。実用性と精度で世界的に成功したグランドセイコー(Grand Seiko)に比べ、芸術性と工芸を追求するクレドールは流通本数も少なく、人目に触れる機会が限られます。第二に、最高峰モデルは年間生産数がごくわずかで、そもそも市場に出回りません。つまり「知名度が低い」のは、品質が劣るからではなく、語らずとも分かる人にだけ届く設計になっているからなのです。



知名度が低いと、買ってから後悔しないか不安です。



その気持ちはよく分かります。でも考えてみてください。世界の投資家や評論家がランゲを手放してでも欲しがるブランドですよ。「分かる人だけが選ぶ」という事実こそ、最大の価値なんです。
なぜクレドールが「知る人ぞ知る存在」になったのか、その背景をさらに掘り下げた記事もあります。気になる方はあわせて読むと、見え方が変わるはずです。知名度という物差しを外して見たとき、初めてこのブランドの本当の価値が浮かび上がってきます。
関連記事:クレドールが知る人ぞ知る存在になった背景
叡智II=マイクロアーティスト工房・デュフォー直伝の仕上げ


海外の目利きたちが叡智IIに惚れ込む最大の理由は、その圧倒的な仕上げと希少性にあります。叡智IIは、長野県塩尻市にある「マイクロアーティスト工房」のごくわずかな精鋭職人によって作られ、年間の生産数はおよそ20本程度。「これ以上は物理的に作れない」という真の希少性が、コレクターの信頼につながっています。
文字盤は日本製の磁器を用い、半透明の磁器や釉薬を幾重にも塗り重ねて焼成することで、独特の透明感と奥行きを生み出します。さらに、インデックスや「CREDOR」のロゴはすべて専門の職人による手描き。長い研鑽を要するこの技術は、機械プリントでは決して到達できない温かみと精密さを両立させています。仕上げにおいては、スイスの独立時計師の最高峰フィリップ・デュフォー(Philippe Dufour)氏の指導を仰ぎ、鏡面磨き(アングラージュ)の技術を再現。デュフォー氏自身が「叡智IIの仕上げは世界最高レベルだ」と公言するほどの完成度を誇ります。



スイスの巨匠が世界最高と認めるなんて、すごいことなんですか。



とんでもないことですよ。高級時計でもルーペで拡大すると仕上げの粗が見えることがある中で、叡智IIはどんな拡大鏡で見てもほぼ完璧。これが「匠の美学」の極致なんです。
年約20本という数字は、マーケティングで作られた希少性ではありません。手作業の限界が生む本物の希少性こそが、世界中の審美眼を持つ人々を惹きつけているのです。その仕上げの詳細はクレドール公式の叡智II紹介ページでも確認できます。数を増やせないという事実が、かえって価値を担保する——これは資産性の観点からも見逃せないポイントです。
静寂のスプリングドライブ|スイープ運針が表す「流れる時」


クレドールの多くの名機に搭載されているのが、セイコー独自の「スプリングドライブ」機構です。これは、機械式と同じくゼンマイを動力としながら、水晶振動子で精度を制御するという独創的な仕組み。叡智IIに搭載される「キャリバー7R14」もこの技術を採用しています。
スプリングドライブ最大の特徴は、チクタクという駆動音がなく、秒針が滑らかに流れるように動く「スイープ運針」です。一般的な機械式時計が秒針を刻むのに対し、スプリングドライブは時間が途切れることなく流れていきます。これは、自然との調和や「流れる時の姿」を重んじる日本的な感性を、そのまま形にしたものといえるでしょう。本サイトが掲げる「機構の解体」という視点で見ると、この静寂と滑らかさは、まさに日本の高級時計が世界に問うた独自の答えです。



音がしないで滑らかに動くって、不思議な感覚ですね。



一度見ると忘れられませんよ。海外の人々が「新鮮な感動」と表現するのも納得です。同じスプリングドライブはグランドセイコーにも使われていて、両者の違いを知ると面白いですよ。
スプリングドライブと従来の機械式、それぞれの魅力をどう選ぶか迷う方は、こちらの比較も参考になります。駆動方式の違いを理解すると、なぜ目利きがこの「流れる秒針」に魅了されるのかが腑に落ちるはずです。クレドールにおいては、この機構が単なる技術ではなく、ブランドの美意識を体現する表現手段になっている点も見逃せません。
あわせて読みたい:スプリングドライブとメカニカルの違い
富嶽トゥールビヨンとロコモティブ|2026年W&W初出展という節目


クレドールの「メゾンの遺産」を語るうえで象徴的なのが、超高級コンプリケーション「富嶽(Fugaku)トゥールビヨン」と、復刻された「ロコモティブ」です。富嶽は、セイコー初のトゥールビヨンとして開発された一本で、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」に着想を得た波の彫金や、贅沢にあしらわれたブルーサファイア、白蝶貝のストライプ装飾など、日本の伝統工芸の粋を集めた逸品として知られています。
一方のロコモティブは、ジェラルド・ジェンタ氏が1979年に手がけた一本。当時のセイコー副社長・服部礼次郎氏との深い友情から生まれ、ジェンタ氏が自身のブランドを立ち上げる「転換点」となった歴史的なモデルです。2024年にはクレドール誕生50周年を記念し、高強度チタンを用いて限定300本で復刻されました。そして注目すべきは、クレドールが2026年に国際的な時計見本市「ウォッチズ&ワンダーズ」へ初出展し、国際展開を本格化させたことです。



クレドールがいよいよ世界の舞台に出るんですね。



そうなんです。これまで日本国内で静かに磨かれてきたメゾンが、世界へ名乗りを上げた節目の年。有名人の愛用と、この国際デビューが重なったのは象徴的ですよね。
歴史と革新が交差するこれらのモデルは、クレドールが単なる実用時計ではなく、語るべき物語を持つメゾンであることを示しています。北斎の波を腕に宿す富嶽、デザイン界の巨匠の遺産を継ぐロコモティブ——いずれも「時を旅する」という言葉がふさわしい一本です。国際舞台への登場は、こうした物語が世界に伝わり始めた合図といえるでしょう。詳細はウォッチズ&ワンダーズ公式でも発信されています。
グランドセイコーとの違い|実用の頂点 vs 芸術の頂点


クレドールを理解するうえで避けて通れないのが、同じセイコーグループの「グランドセイコー」との違いです。結論から言えば、グランドセイコーが「最高の精度と実用性」を追求するのに対し、クレドールは「芸術的表現と卓越した職人技」を追求するフラッグシップ、と整理できます。
グランドセイコーは近年、海外市場で大きく成功し、「日本製高級時計」の品質に対する世界的な信頼を築き上げました。その土壌があったからこそ、より高価格帯で芸術性を突き詰めたクレドールも、海外の審美眼を持つ人々に受け入れられるようになったといえます。両者は競合するというより、実用の頂点と芸術の頂点として役割を分け合っているのです。どちらが上というより、「正確に時を刻む道具」を求めるならグランドセイコー、「身につける工芸品」を求めるならクレドール、という選び方が本質に近いでしょう。



同じセイコーなのに、こんなに方向性が違うんですね。



だからこそ面白いんですよ。実用を極めたグランドセイコーを知ると、芸術を極めたクレドールの立ち位置がよく見えてきます。両方を知って初めて、セイコーの懐の深さが分かるんです。
グランドセイコーの全体像を押さえておくと、クレドールとの違いがいっそう鮮明になります。両ブランドの関係を知ることは、あなたが「自分は道具としての精度に惹かれるのか、それとも工芸品としての美に惹かれるのか」を見極める手がかりにもなります。有名人たちがクレドールを選んだ理由も、この対比のなかでこそ深く理解できるはずです。
関連記事:グランドセイコーの魅力と技術の全体像
よくある質問(FAQ)
クレドールと有名人に関して、検索でよく寄せられる疑問にまとめてお答えします。
Q. クレドールはなぜ人気がない・知名度が低いのですか?
品質が劣るからではありません。大規模な広告を行わず、最高峰モデルは年約20本ほどしか作られないため、市場に出回らず人目に触れにくいのです。語らずとも分かる人に届く設計が、結果的に知名度の控えめさにつながっています。
Q. 菅義偉さんの時計の型番と価格は?
クレドールの「シグノ」シリーズのヴィンテージモデルとされていますが、具体的なリファレンスは公式に特定されていません。1987年に師から贈られた一本を30年以上愛用しているエピソードが知られています。
Q. 綾瀬はるかさんが着用したモデルは?
ドラマ『天国と地獄 〜サイコな2人〜』で着用したのは「リネアルクス GSAS927」です。水の波紋をモチーフにした27mmのレディースで、参考価格は約704,000円(執筆時点)。ベルトを付け替えられる仕様が特徴です。
Q. 海外セレブもクレドールを着けているのですか?
はい。投資家のケビン・オラリー氏やMeta役員のマット・ヤコブソン氏が叡智IIを、時計評論家のザック・ブラス氏が和光限定の叡智IIを愛用していると紹介されています。海外の目利き層にも支持されています。
Q. クレドールとグランドセイコーはどちらが格上ですか?
単純な上下ではなく方向性の違いです。実用と精度を極めるのがグランドセイコー、芸術性と職人技を極めるのがクレドール。価格帯ではクレドールの最高峰モデルが上位に位置します。
総括:クレドールを選ぶ有名人たちが教えてくれること
クレドールを愛用する有名人たちに共通するのは、ロゴや知名度ではなく「本質的な品質と工芸的な美しさ」を重んじる姿勢でした。国内外の政治家・女優・投資家・コレクター・評論家——立場は違えど、彼らはみな、語らずとも伝わる価値にこそ惹かれているのです。



最後に、ポイントをまとめますね。
- クレドールはセイコーが誇る最高峰の高級時計ブランド
- ブランド名はフランス語で黄金の頂きを意味する
- 菅義偉は師から贈られたシグノを30年以上愛用している
- 綾瀬はるかはドラマでリネアルクスGSAS927を着用した
- リネアルクスは水の波紋をモチーフにしたレディース
- ピアニストのコージアトウッドは螺鈿文字盤を愛用する
- 投資家ケビンオラリーは本社で叡智IIを購入した
- Meta役員もローズゴールドの叡智IIを所有している
- 評論家ザックブラスは叡智IIをアガリの時計と呼ぶ
- 叡智IIはマイクロアーティスト工房で年約20本作られる
- 仕上げはスイスの巨匠デュフォーから直接学んでいる
- スプリングドライブは音のない滑らかな運針を生む
- 富嶽はセイコー初のトゥールビヨンとして知られる
- ロコモティブはジェンタが1979年に手がけ復刻された
- クレドールは2026年に海外見本市へ初出展した
今回はクレドールを愛用する国内外の有名人と、目利きに選ばれる理由を解説しました。知名度ではなく本質を選ぶ人々の物語こそ、このブランドの最大の魅力です。次はあなた自身の目で、その静かな輝きを確かめてみてください。
クレドールやセイコーの世界をさらに深く知りたい方は、以下の記事もおすすめです。愛用者たちが惹かれた背景を、別の角度からも味わってみてください。


